第213回国会(常会)
質問第一七七号 福祉現場における、いわゆるパワーハラスメントと虐待に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月十四日 打越 さく良
参議院議長 尾辻 秀久 殿 福祉現場における、いわゆるパワーハラスメントと虐待に関する質問主意書 福祉現場における性的指向・性自認に関連するパワーハラスメントや虐待に関する声が聞かれている。認定NPO法人ReBitの調査では、「行政・福祉関係者にセクシュアリティを安心して話せない」という人が、いわゆる性的マイノリティの九十五・四%にのぼっている。その理由として、同調査では四十七・九%が「ハラスメントやアウティングへの恐れ」を挙げている。具体的な事例としても、障害福祉の現場において、「支援者から「ホモ、気持ちわるい」等、セクシュアリティを揶揄する発言を受けた」、児童福祉の現場で「児童自立支援施設の職員に、同性と付き合っていることが保護者にバレたことがトラブルのきっかけとなっているということを知られたところ、「産まれてこなければよかったのにね」と言われた」との声が寄せられている。 そこで、以下質問する。 一 労働施策総合推進法に基づく、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」では、「相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うこと」「労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること」はパワーハラスメントに該当すると考えられる例として明記されている。 労働施策総合推進法に基づくハラスメントの防止措置は、事業主に対して、労働者間のハラスメント対策を措置義務に、労働者と利用者との間のハラスメント対策を望ましい取組として位置けていると承知しているが、福祉現場においても、労働施策総合推進法に基づき、「相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うこと」等のハラスメントを防止する規定は適用されるとの認識でよいか示されたい。 二 福祉現場における「相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うこと」は、前記一で指摘したように労働施策総合推進法に基づいて防止が望ましい取組であるだけでなく、児童福祉法、障害者虐待防止法、高齢者虐待防止法、それぞれの法の定義における「著しい暴言又は著しく拒絶的な対応」「その他の…著しい心理的外傷を与える言動」に該当する場合に、虐待として各虐待防止法の適用対象になると考えられるが、政府の見解を示されたい。 三 児童福祉法、障害者虐待防止法、高齢者虐待防止法における虐待の定義に該当する行為については、その防止に向けて周知啓発、研修等の必要な措置が講じられるべきではないかと考えるが政府の見解を示されたい。 四 児童福祉法、障害者虐待防止法、高齢者虐待防止法によって、虐待は禁止されていることを踏まえ、性的指向・性自認に関連する虐待も、法の虐待の定義にあてはまるものについては、禁止されている旨を政府は広く周知すべきであると考えるが政府の見解を示されたい。 右質問する。 |