質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第一七四号

家族の口座が登録された問題を受けた公金受取口座制度の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年六月十二日

打越 さく良


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   家族の口座が登録された問題を受けた公金受取口座制度の在り方に関する質問主意書

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い一人当たり十万円が支給された特別定額給付金は、世帯を単位として給付がなされた。内閣府において開催された研究会が令和三年四月二十八日に公表した「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書~誰一人取り残さないポストコロナの社会へ~」では、DV被害者で住所を実態どおりに登録できていない人等については、一定の要件、手続を経て本人が同給付金を受け取ることができることとされたものの、実際には本人が当該給付金を受け取れていない、使用できない又は家族に奪われるといった実態も明らかにされた。こうした声を受け、同研究会では世帯主給付についての課題が指摘されたとし、同報告書において「将来的には、こうした給付金が確実に、届くべき人に対して速やかに届くように、また各種制度において給付と負担が世帯単位から個人単位になるよう、マイナンバーの活用も含め、検討を進めていくべきである」とされたところである。

 一方、令和六年四月五日、河野太郎デジタル担当大臣は、公金受取口座について、誤登録ではなく、あえて本人以外の家族等の口座を登録したと思われる約十二万五千件について、変更がなければ、七月以降、口座情報を抹消する可能性がある旨を述べている。

 以上を踏まえ、質問する。

一 公金受取口座登録制度は、特別定額給付金の支給をめぐる混乱を踏まえ、「給付金が確実に、届くべき人に対して速やかに届くように、また各種制度において給付と負担が世帯単位から個人単位になるよう、マイナンバーの活用も含め、検討を進めていく」とした報告書の趣旨に沿ったものか。また、同制度は、個人単位の給付への転換を図る契機として創設されたものか、政府の見解を示されたい。

二 公金受取口座登録制度は、マイナンバーを利用することにより、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施を図ることを目的としている。仮に、世帯主等の家族に公的給付を支給すれば足りるとすれば、給付金が確実かつ迅速に、届くべき個人に対して支給することにはつながらないと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 公金受取口座制度は、世帯主等の家族の口座を公金受取口座として登録すればよいと誤解されたのではないか。本人の口座以外の口座が登録された理由を政府は把握しているのか。また、この点について十分な対策が講じられていなかった理由は何か示されたい。

四 マイナンバーと本人以外の口座をひも付けることは、マイナンバー制度の趣旨から外れ、その意義を損なうものではないか、政府の見解を示されたい。

五 公金受取口座を家族の口座から本人の口座に修正するための方策と本人の口座を確実に登録するための対策をどのように実施しているのか示されたい。

  右質問する。