第213回国会(常会)
質問第一七〇号 行政文書の存否を明らかにすることが公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすことに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月十一日 石垣 のりこ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 行政文書の存否を明らかにすることが公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすことに関する質問主意書 学校法人「森友学園」をめぐる決裁文書改ざん問題で、関連文書の情報開示を認めなかった決定を不服とする審査請求について、財務省は令和六年五月二十八日、請求を棄却する裁決を出した。 この文書については、令和三年十月に財務省が文書自体の存否も明らかにせず不開示とする決定がされたが、総務省の情報公開・個人情報保護審査会は存否を明らかにしても「捜査の内容や捜査機関の関心事項が推知されるとはいえない」旨の理由で令和六年三月二十九日に「本件対象文書の存否を明らかにして改めて開示決定等をすべきである」旨の答申書(令和五年度(行情)答申第八八九号及び同第八九〇号)を財務省に出している。 しかしながら、財務省は総務省の情報公開・個人情報保護審査会の答申を無視し、報道によると「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがある」として、再び存否を明らかにせず不開示としたのである。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 財務省は「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがある」との理由を挙げているとされるが、文書の存否を明らかにすることで維持ができなくなる公共の安全とは具体的にどのようなことを指しているのか明らかにされたい。同様に文書の存否が明らかになることで維持ができない秩序とはどのようなもので、秩序が維持できない状況とはどのような事態を指しているのか、明らかにされたい。 二 第三者的立場から、公正かつ中立的に調査審議を行う機関である「情報公開・個人情報保護審査会」の答申内容が処分庁の見解と相違する場合、処分庁が従う義務がないのでは第三者的立場の情報公開・個人情報保護審査会を設置している意義が損なわれていると考える。情報公開・個人情報保護審査会の答申を遵守するよう義務付けていない理由を明らかにされたい。 三 今回の事案のように情報公開・個人情報保護審査会の答申に相反する裁定を処分庁が下すことは制度の趣旨をゆがめていると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 四 処分庁の決定に異議があり審査請求した案件を、同じ処分庁が裁定するという現行の制度では決定が覆ることにはならないと考える。第三者的な立場の機関である情報公開・個人情報保護審査会による判断にのっとった裁定を行うことを処分庁に義務付ける必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 右質問する。 |