第213回国会(常会)
質問第一六七号 「名目GDPが一%上がったときに税収が何%増えるか」という数値である税収弾性値を従来の一・一から二・七四へと見直すこと等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月十日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 「名目GDPが一%上がったときに税収が何%増えるか」という数値である税収弾性値を従来の一・一から二・七四へと見直すこと等に関する質問主意書 第百八十九回国会において、中西健治議員により「税収弾性値に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第六号)が提出された(以下「当該主意書」という。)。当該主意書の政府答弁(内閣参質一八九第六号)において、税収弾性値とは、税収の伸び率を名目経済成長率で除したものとされ、経済成長に応じて税収がどの程度増加するかを表す数値であるとされている。また、当該主意書でも示されている通り、平成二十六年一月に財務省が公表した「平成二十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」において、税収弾性値は一・一が用いられている。他方、財務省が公表した令和五年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算で用いられている税収弾性値においても、平成二十六年度と同様の値である一・一を採用し税収を推計している。 これら税収弾性値について、以下質問する。 一 当該主意書の政府答弁には税収弾性値一・一の根拠として、比較的安定的な経済成長を実現していたバブル期以前の平均的な税収弾性値であると示されているが、この「バブル期以前の平均的な税収弾性値」について、何年度から何年度の税収弾性値を示すのか。また、税収弾性値一・一の採用を開始した年度及び採用決定機関を示されたい。 二 前記一について、令和五年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算で用いられている税収弾性値一・一においても算出根拠は同様か。異なる場合は当該根拠を示されたい。 三 平成二十五年度から令和四年度までにおける税収弾性値(年度ごとの税収の伸び率と名目掲示成長率で除した数値)を示されたい。 四 当該主意書提出から今日に至るまで、税収弾性値を見直す議論は政府においてなされたか。なされた場合はその詳細を示されたい。 五 当該主意書でも指摘しているとおり、税収弾性値は一・一よりも高いのではないかとの指摘が現在においてもインターネット上等で散見される。例えば、株式会社第一生命経済研究所のウェブサイトにおいて令和五年七月二十四日に公表された永濱利廣氏の記事「今年度も上振れが予想される税収~市場予想通りの名目GDP成長率達成で七十兆円台後半の可能性~」(以下「当該記事」という。)では、「デフレに突入して欠損法人割合の水準が高まった(一九)九七年度以降の平均的な税収弾性値を計算してみた。すると、過去の関係に基づけば、(一九)九七~二〇二一年度の平均的な税収弾性値は約二・七四となる。」との記載がある。また事実として当該記事が指摘する通り令和四年度では名目GDP成長率が当初予算時点での見通しから実績が下方修正されたにもかかわらず税収は当初予算時点である六十五・二兆円から補正後予算においては六十八・三兆円に上振れしており、これら事実は税収弾性値が一・一よりも高い事を示していると言える。これらを踏まえると税収弾性値を例えば約二・七四へと見直すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。 六 元内閣府政策参与の大守隆氏や内閣府政策統括官の林伴子氏等が団体役員として名を連ねる景気循環学会では、税収弾性値予測コンテストを毎年開催しており、例年夏ごろに審査後の発表があるとされている。政府において税収弾性値の見直しの際に、税収弾性値予測コンテストの結果発表の内容を参考にしてはどうかと考えるが、政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |