第213回国会(常会)
質問第一六三号 離婚などの家事事件での弁護士の成功報酬は公序良俗に反するという理由で制限または禁止している国がある一方、日本ではその制限がないことに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年五月三十一日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 離婚などの家事事件での弁護士の成功報酬は公序良俗に反するという理由で制限または禁止している国がある一方、日本ではその制限がないことに関する質問主意書 弁護士の成功報酬制度について、アメリカでは法律家職務模範規則(Model Rules of Professional Conduct Rule)において、家事事件の報酬で、その支払又は額が、離婚の成立又は別居手当若しくは扶養料の額若しくはそれらに代わる財産的解決にかからしめられるものは、弁護士の報酬が離婚を助長したり事件当事者間の調整を妨げたりすることが公序良俗に反するとして制限されている。同様に、イギリスでは家事事件手続及び刑事事件手続において、カナダではカナダ刑法に基づく手続その他の刑事手続及び準刑事手続並びに家族法に係る事項について、ドイツとフランスでは完全成功報酬そのものが原則として禁止されている。他方、日本においては弁護士の完全成功報酬も許容され、何ら制限がない。これらを踏まえて、以下質問する。 一 弁護士の成果報酬制度の規制(制限)について、政府が把握しているG7各国における規制の概要とその制限に係る立法趣旨を示されたい。 二 前記一について、G7各国における弁護士の成果報酬制度の立法趣旨は、弁護士の成果報酬制度に何ら制限をかけていない日本においては、現行法上の懸念点ではないか。政府の見解を示されたい。 三 弁護士の成果報酬制度について、特に離婚時における養育費に対する成果報酬への批判が多いと承知している。主な批判の一つに、養育費算定において弁護士報酬が支払われる事は当然想定されておらず、子供の養育に充てるべき資金を弁護士報酬とするのは如何なものかという指摘がある。家事事件における弁護士の成果報酬制度の実態や問題点の把握及び制度の見直しに向けて、政府においても調査研究すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 四 G7各国の制度を参考に、日本においても弁護士の成果報酬制度の制限を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |