第213回国会(常会)
質問第一五九号 親権を巡って子供を一方的に連れ去る問題に弁護士が関与している可能性等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年五月三十一日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 親権を巡って子供を一方的に連れ去る問題に弁護士が関与している可能性等に関する質問主意書 従来の日本の親権制度は離婚後単独親権となることから、離婚後親権を得る目的で片親による子供の不当な連れ去り事案が多発し、社会問題化している(以下「連れ去り事案」という。)。その問題の一つとして、平成十七年十二月六日の最高裁判例では、母の監護下にある二歳の子供を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされ、刑法第二百二十四条の未成年者略取罪が認められている(以下「平成十七年最高裁判例」という。)が、当該事案の問題の背景には、離婚後親権が認められるための重要な判断材料の一つに、子供との同居期間が挙げられるためと考える。本来、家庭問題は、夫婦間、または家族間で円満に解決されることが最も望ましいが、連れ去り事案は夫婦高葛藤を引き起こし、家族間の問題をより深刻化させる極めて悪質な行為である。今国会において民法改正案が成立し、単独親権から共同親権へ移行すること、また、現状の単独親権下で起きている連れ去り事案等の問題がどう解消されるのかが注目されていることを踏まえて、以下質問する。 一 平成十七年最高裁判例を踏まえると、夫婦が同居中であったとしても、有形力を用いて乳児又は幼児である自らの子供を片親の同意なく連れ去った略取行為について、監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず、行為態様が粗暴で強引なものである場合は刑法第二百二十四条の構成要件に該当し得るのではないか。一般論として、家族間で起きた未成年略取の適用と刑法第二百二十四条との関係について、政府では現在どう整理しているか示されたい。 二 離婚後親権を獲得する目的で起きる連れ去り事案のような悪質な行為を勧める弁護士が存在するという意見がインターネット上で散見されるが、連れ去り事案を弁護士が勧める行為は、自らの弁護士報酬を高める目的で家庭問題を深刻化させていると言えるのではないか。一般論として、自らの利益を得しめる目的で、弁護士が相談事案の問題を深刻化させる行為は、日本弁護士連合会が定める弁護士職務基本規程第五条または第十四条に抵触し得るか、政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |