質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第一五七号

静岡県知事選の応援演説における上川外相の「うみの苦しみ」発言撤回による負の影響に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年五月三十一日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   静岡県知事選の応援演説における上川外相の「うみの苦しみ」発言撤回による負の影響に関する質問主意書

 令和六年五月十八日、上川陽子外務大臣は、地元の静岡市で開かれた女性支持者らが出席する集会で、静岡県知事選挙の応援演説を行った。当該演説における「一歩を踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」という旨の発言(以下「当該発言」という。)について、翌十九日に「私の昨日の発言は支援いただいている女性支援者が中心の演説会での発言で、二〇〇〇年の激戦で初当選した、その際女性のパワーで私という衆院議員を誕生させていただいた。いま一度女性パワーを発揮して新たな知事を誕生させると言う意味で申し上げたが、女性パワーで未来を変えるという真意と違う形で受け止めをされる可能性がある発言だったという指摘を真摯に受け止め、発言を撤回をさせていただきます。二十四年間女性が新しい変化を生み出すパワーになることを実感している。その思いは全く変わっていません。」という旨のコメントをした。そもそも当該発言の全容を確認すれば、子どもを産んでいない人への配慮に欠けるなど不適切だとする批判は常識的に考えれば的外れであり、撤回する必要はない。そもそも、本来であれば政府の要人の発言や政府が発する情報に対する報道について、報道機関は多くの国民が誤解することのないよう正確な情報を報道する責務がある。しかし当該発言の報道内容は、発言の一部のみを報道した一部の報道機関により誤解を生じさせている。発言の一部のみを以て「新知事を誕生させる趣旨とみられるが、出産困難な人への配慮を欠くと指摘される可能性がある。」という報道をした共同通信社には相応の責任を取らせる必要があろう。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 当該発言を撤回した理由を示されたい。また、撤回した理由を文書で公表すべきと考えるが見解を示されたい。

二 当該発言に対する批判を受けて、外務大臣という政府の要人が暗に発言を撤回することは、言論の自由に対する負の影響が大きいのではないか。当該発言の撤回により言論の自由に対する弊害または悪影響は考慮されたのか、されたのであれば、その詳細を示されたい。

三 当該発言はその全容を聞けば批判を受けるような発言ではなく、一部の報道機関が当該発言の一部を報道したことで国民へ誤解を与えた可能性が極めて高く、これは当該発言そのものの問題ではなく報道の問題ではないか。しかしながら岸田総理は令和六年五月十九日のTBSの報道によると「誤解を招く表現は私も避けるべきであると思う」とコメントしたとされている。一般論として、政府要人の発言や政府から発する情報の一部を切り取り、多くの国民の誤解を生む報道に対する現政権の姿勢と今後の対応方針を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。