第213回国会(常会)
質問第一五六号 福島第一原子力発電所の廃止措置と燃料デブリの位置づけに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年五月三十日 山本 太郎
参議院議長 尾辻 秀久 殿 福島第一原子力発電所の廃止措置と燃料デブリの位置づけに関する質問主意書 以下の質問について、複数の質問をまとめての回答ではなく、質問一つ一つそれぞれに回答を求める。 一 福島第一原発の廃止措置計画とその終了基準について 1 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(以下「原子炉等規制法」という。)第六十四条の四の規定で、「特定原子力施設については、その実施計画による保安又は特定核燃料物質の防護のための措置の適正な実施が確保される場合に限り、政令で定めるところにより、この法律の規定の一部のみを適用することとすることができる。この場合において、必要な事項は、政令で定める。」とされている。この第六十四条の四の規定はどのような理由で設けられたのか。 2 原子力規制委員会規則で定める廃止措置終了基準適合確認について定めた原子炉等規制法第十二条の六第八項が、「特定原子力施設」に指定された福島第一原発に対しても適用することを直接示した規定は原子炉等規制法の条文中にはない。この理解で間違いないか。 3 原子力規制委員会規則で定める廃止措置終了基準適合確認について定めた原子炉等規制法第十二条の六第八項が、「特定原子力施設」に指定された福島第一原発に対しても適用することを直接示した規定は政令によって定められている。この理解で間違いないか。 4 原子力規制委員会規則で定める廃止措置終了基準適合確認について定めた原子炉等規制法第十二条の六第八項を、「特定原子力施設」にも適用することを原子炉等規制法の条文で直接定めることをしない理由は何か。 5 「東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設についての核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の特例に関する政令」(いわゆる1F特例政令)を改正すれば、原子力規制委員会規則で定める廃止措置終了基準適合確認について定めた原子炉等規制法第十二条の六第八項が「特定原子力施設」に指定された福島第一原発に対して適用されないようにすることは、手続きとしては可能である。この理解で間違いないか。 二 燃料デブリについて 1 平成二十五年十一月二十七日「発電用原子炉施設及び試験研究用等原子炉施設の廃止措置計画の審査基準の制定について」においては、廃止措置計画の記載事項の審査について、解体する原子炉施設、解体の方法(①原子炉の機能停止から燃料体搬出までの段階、②燃料体搬出後から解体撤去までの段階、③解体撤去段階)等の記載内容の確認を必要としている。 そして「廃止措置計画に係る原子炉の炉心から使用済燃料(研究開発段階発電用原子炉にあっては燃料体)が取り出されていることが、認可の基準となっていることから、申請に先立ち炉心から燃料を取り出していること」が廃止措置計画の認可の基準であることが明示されている。この「発電用原子炉施設及び試験研究用等原子炉施設の廃止措置計画の審査基準」は「特定原子力施設」には適用されない、という理解で間違いないか。 2 福島第一原発の燃料デブリは法的に放射性廃棄物と位置づけられているか。 3 原子炉から燃料デブリが取り出せない等の理由により事業者が燃料デブリを処分する計画を示さない場合、「処分」する計画のない原子炉内に残った燃料デブリは法的に「放射性廃棄物ではない」、という理解になるか。 4 福島第一原発の燃料デブリの最終処分について、政府には高レベル放射性廃棄物同様の扱いをする法的責任があるか。 5 福島第一原発の廃止措置について、原子炉内に燃料デブリが一部残った状態で実施計画に記載された「廃止措置」の終了、実施計画の終了を規制委員会が認めることは法的に可能か。 6 福島第一原発の原子炉内に燃料デブリが一部残った状態で「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」第百二十一条が定める終了確認の基準を満たすことは、法的に可能と考えるか。 右質問する。 |