第213回国会(常会)
質問第一五五号 京急蒲田駅を「京急蒲タコハイ駅」とするキャンペーンに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年五月三十日 石垣 のりこ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 京急蒲田駅を「京急蒲タコハイ駅」とするキャンペーンに関する質問主意書 京浜急行電鉄株式会社はサントリー株式会社及び大田区商店街連合会とコラボし、令和六年五月十八日(土)から六月十六日(日)までの期間、京急蒲田駅を「京急蒲タコハイ駅」にして、構内や周辺の各種装飾を変更し、サントリーのチューハイ「こだわり酒場タコハイ」の広告で埋め尽くしている。また、五月十八日(土)、十九日(日)、六月八日(土)、九日(日)の四日間は、京急蒲田駅二番線ホーム(三階)にて、蒲田の愛されグルメである餃子とタコハイが楽しめる「京急蒲タコハイ駅酒場」を開店することとし、五月十七日には開駅式が行われた。 このキャンペーンに対し、アルコール問題に取り組む団体等から「「京急蒲タコハイ駅」への駅呼称変更とホームでの酒場開店の中止を求める申し入れ書」が提出されたことが報じられるとSNS等で批判が広がり、五月二十九日までに京急蒲田駅に設置された「京急蒲タコハイ駅」の看板が撤去されることになった。 駅・電車などの交通機関は、不特定多数が利用する極めて公共性が強い場であり、乗降客には二十歳未満の青少年も含まれ、ドクターストップで禁酒・断酒中の人や飲めない体質の人もいる。交通広告は、駅や電車を利用するときに意図せず目に飛び込む「強制視認性」が前提となっており、健康問題・社会問題を引き起こす側面をもち、年齢規制もある酒類の広告にはふさわしくない。 サントリーも組合員である酒類業中央団体連絡協議会の九団体により構成される飲酒に関する連絡協議会も「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」において、「公共交通機関には、次の広告は行わない。(イ)車体広告、(ロ)車内独占広告、(ハ)自動改札ステッカー広告、(ニ)階段へのステッカー広告(駅改札内を対象)、(ホ)柱巻き広告(駅改札内を対象)」と自主規制を行っている。 また、鉄道会社は日頃より酔客のホームからの転落、乗客同士のけんかやトラブル、駅職員への暴力等の対応に苦慮している。それにも関わらず、自らホームで「京急蒲タコハイ駅酒場」を開店し、酔客を増やすことを行うのは他の乗客の安全への配慮に欠く非常に不適切なことであると考える。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 アルコール健康障害対策基本法第六条で「酒類の製造又は販売(飲用に供することを含む。以下同じ。)を行う事業者は、国及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力するとともに、その事業活動を行うに当たって、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止に配慮するよう努めるものとする。」と規定されている。交通広告は、駅や電車を利用するときに意図せず目に飛び込む「強制視認性」が前提となっており、交通広告において酒類の広告を行うことは、上記規定で求めているアルコール健康障害の発生、進行及び再発防止の配慮を欠いていると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 二 駅のホーム上に酒場を開設することにより、酔った乗客がホームに転落したり、乗客同士のけんかやトラブルを起こしたり、駅職員への暴力などが起こる可能性もある中で、あえて飲酒する場を鉄道事業者が設けることは乗客の安全を軽視していると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 三 飲酒が禁止されている二十歳未満の青少年、ドクターストップで禁酒・断酒中の者や飲めない体質の者も含めた不特定多数が利用する極めて公共性が強い駅・交通機関において酒類広告で埋め尽くすようなキャンペーンを行うことは非常に不適切であると考えるが、京急蒲田駅を「京急蒲タコハイ駅」に駅名変更までして行われている上記キャンペーンの是非について、政府の見解を明らかにされたい。また、今後同様のキャンペーンが行われることについての是非も明らかにされたい。 四 アルコール健康障害対策基本法第六条「酒類の製造又は販売(飲用に供することを含む。以下同じ。)を行う事業者は、国及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力するとともに、その事業活動を行うに当たって、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止に配慮するよう努めるものとする。」の規定に則り、政府は、強制視認性を前提とする駅・交通機関等においては酒類の広告を控えるよう関係事業者に対して改めて求めるべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 右質問する。 |