質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第一五四号

定額減税と調整給付の合計額に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年五月二十九日

石垣 のりこ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   定額減税と調整給付の合計額に関する質問主意書

 今般、令和六年の所得税から三万円、令和六年度分の個人住民税所得割から一万円、合計四万円を控除する定額減税が実施される(以下「定額減税」という。)。あわせて、定額減税前の税額が少なく、定額減税し切れないと見込まれる者には、定額減税し切れないと見込まれる額について一万円単位で給付が行われる(以下「調整給付」という。)。つまり、定額減税し切れない額が仮に一円でも調整給付の額は一万円となるため、定額減税と調整給付の合計が四万円を超える者が出ることになる。また、調整給付については令和六年六月にも実施する予定であり(以下「当初給付」という。)、定額減税し切れるか否かの判定は令和五年の所得税額及び令和六年度分の個人住民税所得割額に基づいて行われることになるため、令和五年と令和六年を比較して所得に大きな変動があった場合、結果的に本来は調整給付が不要であった場合や所得税から三万円を減税し切れない場合も生じうる。

 また、所得税から控除する方法について、給与所得者の場合、六月以降の給与等から源泉徴収する税額を控除し、控除し切れない額を翌月以降順次控除し、控除した総額が三万円になるまで毎月の税額から控除し続けるという事務が煩雑で負担がかかる方法となっている。

 さらに、個人事業主などで確定申告によって納税を行っている者の場合、予定納税で納付している者はその際に減税されるが、そうでない者は確定申告を行う来年まで減税の恩恵を受けることができない。

 以上のように、定額減税と調整給付を合わせた額が四万円を超える者がおり、受けられる金額に大きな差が出ることや、定額減税や調整給付が行われる時期が人によってばらばらであることから、公平な制度とは言い難い。

 よって、税の公平性という観点から、定額減税と調整給付を組み合わせるのではなく、国民全員に給付を行うべきではないか。その方が源泉徴収義務者の負担が無く、前年度の所得を把握する必要がない分自治体の事務負担も少なく済み、全ての方に迅速かつ一斉に支給することができ、目的や効果も明確になるのではないかと考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 定額減税と調整給付を組み合わせることとしたのは、納税額によっては満額を減税できない者がいることから、その不足分を調整給付することとしたと理解する。それならば、定額減税は行わず給付のみ行うべきであったと考えるが、定額減税と調整給付の組合せにした理由を明らかにされたい。

二 当初給付は、最大四万円となる可能性があるという認識でよいか(減税対象人数が一人の場合。次の各問において同じ。)。この認識とは異なる場合、当初給付の最大額を明らかにされたい。

三 令和五年と令和六年との間で所得に大きな変動があり、当初給付を受けた上で、定額減税も受けることができる者の場合、理論上、調整給付の額と定額減税の額を合わせた最大の額はいくらになるのか明らかにされたい。

四 個々の人によって受けられる定額減税と調整給付の総額に大きな差が出ることは公平ではないと考えるが、前記三にいう最大の額と定額減税四万円とで大きな差が生じることについて、公平性の観点から政府の見解を明らかにされたい。

五 令和五年度まで親の扶養に入っており、令和六年度から働き始めた新卒者等は令和五年度の納税額がゼロではあるが、当該新卒者は当初給付の対象になるのか。当初給付の対象にはならない場合で、令和六年の納税額から減税し切れない額があるとき、減税し切れなかった額はいつ給付されるのか明らかにされたい。

六 個々人で定額減税及び調整給付を受けられる額に差があり公平でない上に、その時期も人によってまちまちで令和六年度末まで受けられない場合もあり、現下の厳しい経済状況に対応する対策として機能しないことを考えると、定額減税と調整給付をやめて、国民全員に定額給付を行うべきであると考えるが、政府の見解をその理由を具体的に示して明らかにされたい。

  右質問する。