第213回国会(常会)
質問第一四三号 太陽光発電所を二施設保有する発電事業者が国の再生エネルギーに関する議論や提言に関わることの適正性に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年五月二十二日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 太陽光発電所を二施設保有する発電事業者が国の再生エネルギーに関する議論や提言に関わることの適正性に関する質問主意書 政府は二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて二〇三〇年までに日本の電源構成のうち、再エネ比率を現状の約二十%から三十六―三十八%に上げる目標を掲げており、今後も再エネを増やしていく方針を示している。しかしながら、再エネの導入に進むにつれて需要が低い時期には発電量過多になり始めた。供給余剰を回避できない状況が生じる場合、広域機関により、下げ代不足融通指示が行われ、余剰電力を他エリアに供給することを想定していたが、域外隣接エリアにおいても家庭用太陽光発電等が順調に増加し、域外送電量は減少しており、全国的に出力制御が行われるようになっている。令和六年度の再エネ出力制御見通しは、北海道電力は〇・二%、東北電力は二・五%、中部電力は〇・六%、北陸電力は一・一%、関西電力は〇・七%、中国電力は五・八%、四国電力は四・五%、九州電力は六・一%、沖縄電力は〇・二%を予定している。今後も再エネ導入量は増加していく見通しであるため出力制御量の増加は避けられないと考えられる。出力制御の要請に従うことは再エネ特措法で定められており従わなくてはならない。出力制御による損失の補償は電力会社ごとに違う。例えば、北海道電力と九州電力は二〇一五年一月二十五日までの電力会社との契約であれば出力制御された日数が年間三十日を超えると売電収入が補償されるが、二〇一五年一月二十六日以降の契約では無補償となっている。 出力制御を減らすため、深夜電力を利用した電気温水器などの需要を昼間にシフトするように政府の審議会等で特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所の代表であり元自然エネルギー財団業務執行理事である飯田哲也氏が提言している。飯田哲也氏は中央環境審議会、総合資源エネルギー調査会、内閣官房原子力事故再発防止顧問会議委員などを歴任し、二〇二二年にも参議院資源エネルギーに関する調査会に参考人として招かれて発言している。 そうした状況下、九州電力は電気温水器やヒートポンプ式給湯器「エコキュート」、電気自動車などの利用者を対象に昼間の料金を割安とする「おひさま昼トクプラン」を二〇二四年四月一日に開始した。九州電力は「昼間の需要創出を促進し、再エネ有効活用に資する料金プランを創設した」としている。東京電力もエコキュートの利用時間を昼間に変更した場合にポイントを付与する「エコキュート昼シフトチャレンジ」を実施している。 これらを踏まえて、以下質問する。 一 再生エネルギー電気をFIT制度によって政府が定めた一定の価格で一定の期間にわたって買い取ることを保証しているが、一方で電力各社が供給余剰を回避できない状況が生じた場合に行われている出力制御に係る発電事業者への補償は電力会社ごとに違っており一定ではない。出力制御に係る発電事業者への補償に関しても一定の制度を設けては如何か。政府の見解を示されたい。 二 深夜電力の需要の一部を昼間へ移行することは出力制御が予想される状況を鑑みて合理的であると思料するが、これらの試みは政府の政策や方針が反映されているか、もしくは合致しているかを示されたい。 三 飯田哲也氏は政府の諮問会議の委員や国会の参考人を務める等、公の機会で提言や情報提供を行うなどしてきたためにエネルギー業界においては強い影響力を持っているものと察する。一方、飯田哲也氏は九州電力管轄内で太陽光発電所を二施設保有する発電事業者でもある。収益事業を司る以上は利益の最大化を志向するのは当然である。よって、発電事業者である飯田哲也氏が国の再生エネルギーに関する議論や提言に関わることは適当ではないのではないかと案ずるが、政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |