第213回国会(常会)
質問第一三五号 伊藤信太郎環境大臣と水俣病患者団体との懇談の場における警備の在り方に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年五月十四日 石垣 のりこ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 伊藤信太郎環境大臣と水俣病患者団体との懇談の場における警備の在り方に関する質問主意書 内閣総理大臣を始め閣僚には身辺に危害が及ぶことがないよう警視庁警護課の警護員が自宅を出てから帰宅するまでの間、身辺の警護を行っている。 令和四年七月八日、奈良県奈良市内において、警護対象者である安倍晋三元内閣総理大臣が街頭演説中に銃撃を受け、殺害されるという重大事案が発生した。 これは民主主義に対する重大な脅威であり、到底容認できるものではなく、かかる行為を未然に防ぐための警護の重要性は十分理解するものである。 この事件を受けて国家公安委員会は、新たな警護要則を制定し、各警察本部長が警護計画を作成し警察庁長官等に報告することとするなど警護における警察庁の関与を強化することとした。 令和六年五月一日、熊本県水俣市において、水俣病犠牲者慰霊式後の伊藤信太郎環境大臣と水俣病の患者・被害者などの関係団体との懇談が行われたが、患者団体の参加者が発言している最中に環境省の職員がマイクを切ってしまい、伊藤環境大臣が五月八日に再び水俣市を訪問し、謝罪に伺うことになる事案が発生した。 ニュース映像では、マイクを切られたことに気が付いた参加者が説明を求め、それに伊藤環境大臣及び環境省の職員が答えている際、伊藤環境大臣と参加者の間に警護員が立って、かつ参加者に向かって警護を行っており、参加者に威圧感を与えている。 警護対象者の身辺に危害が及ばないように警護することが任務であり、より安全を考え警護対象者の近くに立って警護に当たる判断だったとしても、上記の懇談の場は参加者が特定されており、かつ高齢の方もおり、重大な事態が発生する可能性が非常に低く、当日の警護体制は客観的に見て、関係者から意見を伺う場にはふさわしくないと考える。なぜなら、懇談という形式をとっているのであれば、患者や被害者からの思いを静ひつな環境の中で伺うべきであり、黒いスーツを着用し、手には防弾用のカバンを持っている警護員が目の前にいることは参加者の立場からすると警護対象者に危害を加える可能性があると思われているのかと感じることになり、参加者の不信感を買うことになりかねず、信頼関係の構築のために行う懇談の趣旨にそぐわないからである。 つまり、不特定多数が往来する街頭演説や参加者個々の把握が出来ない屋内の会合等での警護と参加者が特定されており、今回の環境省による水俣病の関係団体との懇談会のように、政府の側からの呼びかけで行われる一般市民との懇談等における警護を同等に考えるべきではない。 参加者が特定されている個室内で行われる懇談等においては、会場に入室する時点で手荷物検査をするなどで危険物の持ち込みがないことを確認する一方で、懇談中は部外者の入室がないよう入口等を警戒すれば十分だと考える。 市民との直接対話という民主主義の原点を確保する観点から、以下質問する。 一 令和六年五月一日の伊藤環境大臣と水俣病の患者等の団体との懇談会において、団体側の参加者が環境省側の対応について説明を求めた際に、後方にいた警護員が大臣の斜め前に出てきて、参加者との間に立って警護を始めたのは警護計画の警護措置に基づいた対応であるか。また、上記事案のような警護は過剰警護で不適切であったと考えるが政府の見解を示されたい。 二 警護対象者の身辺に危害が及ばないように警護することは必要だと考えるが、省庁の側が人選するような会議や懇談会など参加者が特定されていて、外部から部外者が入ることが出来ないような室内で行われる会合等においては、必要最小限の範囲で警護を行うこととし、警護対象者と参加者の間に警護員が立つことがないよう警護計画を作成すべきだと考えるが政府の見解を示されたい。 右質問する。 |