第213回国会(常会)
質問第一三二号 特定非営利活動法人フローレンスによる養子縁組のあっせんに係る手数料と営利に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年五月十四日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 特定非営利活動法人フローレンスによる養子縁組のあっせんに係る手数料と営利に関する質問主意書 平成二十八年に民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律が成立して以降、法第六条第一項の許可を受けている民間あっせん機関は二十二業者(令和三年度末時点)に上る。令和三年四月から令和四年三月までの記録として、養親希望者からの申込み件数は九百二十一件、養子縁組の成立件数は二百二十六件となっている。上記期間での成立率は約二十四・五%である。東京都が所管する特定非営利活動法人フローレンスには百五十一件の養親希望者からの申込みがあったが養子縁組が成立したのは僅か五件であり成立率は約三・三%と非常に低い。法第九条では「民間あっせん機関は、内閣府令で定める種類の手数料を徴収する場合を除き、養子縁組のあっせんに関し、いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならない。」とされている。併せて、内閣府で定める種類の手数料として同法施行規則第三条において、特定の養親希望者に係る相談援助その他の養子縁組のあっせんに係る業務に要した費用を第一号手数料、特定の児童又はその父母等に係る相談援助その他の養子縁組のあっせんに係る業務に要した費用を第二号手数料、養子縁組あっせん事業に要する費用の合計額から第一号及び第二号手数料として徴収する額を控除した額を限度として、養親希望者又は児童の父母等から徴収する手数料を第三号手数料とし、それぞれを徴収することができると定めている。特定非営利活動法人フローレンスは家庭調査として五万円+交通費、新生児の養育実習として二万円、保育園での実習(乳幼児)として二万円、待機登録費として四万円を第一号手数料として徴収している。また、養子縁組の成立後に徴収する費用として、児童の紹介があった場合の費用として百七十万円、委託時の入院研修費用は医院に直接支払うこととし、その他はケースによって実費を徴収することとしている。 これを踏まえ次の通り質問する。 一 民間養子縁組あっせん機関が法第九条の規定があるにも関わらず「待機登録費」を養親希望者から徴収することに適当であるかどうかを示されたい。 二 例えば「児童の紹介があった場合の費用」という名目で徴収する手数料は法第九条に規定する「いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならない。」という規定に反するものではないのか。政府の見解を示されたい。 三 第三号手数料に定める「養子縁組あっせん事業に要する費用の合計額」とは具体的にどのような費用を想定しているのかを示されたい。 四 法第七条の許可の基準について「営利を目的として養子縁組あっせん事業を行おうとするものでないこと。」が規定されているが、インターネット上では「養子縁組」と検索すると唯一、特定非営利活動法人フローレンスの広告がスポンサーとして表示される状態にある(令和六年五月四日現在)。こども家庭庁にて公表している令和三年四月から令和四年三月までの民間あっせん業者全二十二事業者の手数料の総額の平均は百八・九万円であるが、特定非営利活動法人フローレンスの手数料の総額の平均は二百十一・二万円となっており、民間あっせん全事業者の平均の約二倍に近い手数料を徴収している。積極的な宣伝広告を行いつつ、徴収する手数料が高額であることは営利を目的としているのではないかと推察するが政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |