第213回国会(常会)
質問第一二五号 難民認定申請者への保護費に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年五月八日 髙良 鉄美
参議院議長 尾辻 秀久 殿 難民認定申請者への保護費に関する質問主意書 政府は、一九八三年より「難民認定申請者保護事業」を実施し、生活に困窮する難民認定申請者に対する保護費の支給を行っている。難民認定手続には数年以上の長期間を要することも多く、この間の難民認定申請者の生活を支える仕組みの確立が重要である。 全世界において、故郷を追われる人の数は一億人を超え、第二次世界大戦以降、最多を記録し続けている。日本においても、二〇二三年における難民認定申請者数は、一万三千八百二十三人と過去二番目に多かった。世界各国で迫害や紛争が続く中、日本に逃れた難民を適正に保護する仕組みとして、保護費の重要性が増している。そこで、以下質問する。 一 保護費の予算額について 二〇二四年三月二十一日の参議院政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会における私の質問に対して、政府は「外務省が二〇二三年の事業の委託先であるアジア福祉教育財団難民事業本部、RHQに委託している難民認定申請者に対する保護費について、令和五年度予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額は、当初予算分が約二億三千百万円、補正予算分が九千六百万円」と述べている。 1 二〇一〇年度から二〇二二年度及び二〇二四年度における難民認定申請者に対する保護費について、「予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額」をそれぞれ示されたい。 2 前記一の1には、難民認定申請者緊急宿泊施設の提供にかかる予算額は含まれるか。 3 二〇一〇年度から二〇二四年度における難民認定申請者緊急宿泊施設の提供にかかる「予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額」をそれぞれ示されたい。 二 住居費の上限額の変更について 1 難民認定申請者に対する保護費において支給される住居費の額について、二〇二三年度は単身者の場合は上限四万円から六万円、世帯の場合は人数に応じて上限六万円から八万円への増額が行われている。増額の理由を示されたい。 2 難民認定申請者に対する保護費において支給される住居費の額について、二〇二四年度は単身者の場合は上限六万円から四万円、世帯の場合は人数に応じて上限八万円から六万円への減額が行われている。減額の理由を示されたい。 三 住居費の上限額の減額について 1 二〇二四年三月二十一日の参議院政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会における私の質問に対して、政府は「難民認定申請者に対する保護につきましては、国際的に各国にも道義的責任があるという重要な業務であると認識しており、今後も適正な保護が実施できるよう最大限の努力を続けてまいりたいと考えております」と述べている。 東京都の場合、生活保護における単身者の住宅扶助基準は、四万九百円から五万三千七百円で設定されている。難民認定申請者について、最低限度の生活を保障する生活保護を下回る上限額の設定により、「適切な保護」を実施することは困難であると考える。政府の考えを示されたい。 2 二〇二三年末時点(仮に二〇二三年末時点の統計がとれていない場合は、二〇二三年で可能な限り最新の統計)において保護費を受給していた者について、以下の統計を示されたい。 (1) 保護費受給者のうち、単身者の数と、そのうち四万円を超える住居費を受給していた者の数。 (2) 保護費受給世帯のうち、二人世帯の数と、そのうち五万円を超える住居費を受給していた者の数。 (3) 保護費受給世帯のうち、三人世帯の数と、そのうち五万五千円を超える住居費を受給していた者の数。 (4) 保護費受給世帯のうち、四人以上世帯の数と、そのうち六万円を超える住居費を受給していた者の数。 3 住居費の支給は、保護措置対象者からの賃貸借契約書の提出により、家賃月額を確認した上で行われる。今般の住居費減額の判断は、現に保護費を受給している者が支払う家賃月額を踏まえることなく行われたものか。 右質問する。 |