質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第一二三号

辺野古大浦湾の工事に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年四月二十六日

福島 みずほ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   辺野古大浦湾の工事に関する質問主意書

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局は大浦湾側の埋め立て前に、約八万四千群体の小型サンゴ類などを移植してから工事に入る計画を示してきた。しかしながら、防衛省によるシミュレーションの結果から、移植前に埋め立てエリアを囲む護岸工事に先行着手しても、サンゴには影響がないと発表した。

 しかし、防衛省の配布資料によると、工事前に移築するとした大型サンゴの生息場所は護岸工事で汚濁の出る場所から二十五メートルしか離れていない。さらに、移植対象である脆弱な小型サンゴも近くに生息している。シミュレーションでは汚濁防止枠による汚濁の除去率が考慮されているが、除去率にばらつきが大きいことは国土交通省港湾局の資料(「港湾工事における濁り影響予測の手引き」の策定について ケーススタディ資料―六汚染防止対策の考え方 平成十六年十月二十二日 国土交通省港湾局環境整備計画室作成 https://www.mlit.go.jp/kowan/nigori/pdf/06.PDF)によっても明らかで、事実、辺野古側工事で大量の汚濁が汚濁防止枠の外へ流出していたことも市民の調査によって確認されている(ブログ「チョイさんの沖縄日記」平成三十年五月二十二日版を参照 https://blog.goo.ne.jp/chuy/e/8ebb835a7acc4ef0dc29ed03965b9d2a)。

 以上の事実を踏まえて、以下質問する。

一 沖縄防衛局は工事の前に環境保全措置としてサンゴ移植を行うことを平成二十五年に出した環境保全図書に明記しており、移植を実施しないまま工事に着手している現在の状況は、環境影響評価書に記載する環境保全の適正配慮を求める環境影響評価法第三十八条に明らかに違反していると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 違反している場合、この点についてどのように間違いを正していくのか、その対処方法を示されたい。

三 前記一について、違反していないとする場合、その影響は沖縄県だけにとどまらない。今後、環境破壊を伴う事業において、開発側が工事をスムーズに進めるために、あとから都合の良いシミュレーション結果を付け加えれば、環境保全措置を行わずに済むという「あしき先例」となると考える。この点について、今後同様の環境に多大な影響を及ぼす工事を進める手続きにおいて、正当な環境破壊防止策を講じることができるのか。その方策を明示されたい。

四 海上ヤードは大浦湾側の埋め立て工事と一体と考えるが(「沖縄タイムス」令和五年十一月一日記事参照 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1249005)、政府は海上ヤードの造成工事について、沖縄県との事前協議の対象外と説明した(日時:令和六年一月十日、場所:第四十六回環境監視等委員会が開催された那覇市内のホテル(パシフィックホテル沖縄)、発言者:沖縄防衛局の菅野昌生調達部次長、第四十六回環境監視等委員会ブリーフィングにおける質疑応答より。これらの発言は沖縄タイムス山城響記者が録音。)。

 なぜ、沖縄県との事前協議の対象外と説明したのか、その理由及び法的根拠を示されたい。

  右質問する。