質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第一一五号

イランを強く非難する一方、イスラエルに対しては確定的評価を差し控えていることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年四月十七日

石垣 のりこ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   イランを強く非難する一方、イスラエルに対しては確定的評価を差し控えていることに関する質問主意書

 令和六年四月一日、イスラエルはシリアのダマスカスにあるイラン大使館関係・関連施設に対してミサイル攻撃を行った。報道によると、この攻撃によってイラン軍高官等が死亡している。

 この攻撃に対する「報復」としてイランは四月十三日夜から十四日未明にかけてドローンやミサイル等を使用し、イスラエルへの攻撃を行った。

 上川陽子外務大臣は四月二日の記者会見でイスラエルによる在シリアのイラン大使館への攻撃について記者から問われた際、「事実関係を十分に把握をすることが困難である中、確定的に評価をすることは差し控えさせていただきますが、現地の状況については、重大な関心と懸念をもって注視しております」と答えている。

 一方で、四月十三日夜から始まったイランによるイスラエルへの「報復」攻撃については、「今回の攻撃は、現在の中東情勢を更に一層悪化させるものであり、深く懸念し、このようなエスカレーションを強く非難します。」との「イランによるイスラエルに対する攻撃について(外務大臣談話)」をあえて発表し、イランを強く非難した。

 イスラエルによるイラン大使館への攻撃については「事実関係を十分に把握をすることが困難」である中、「確定的に評価をすることは差し控え」るとしている一方で、イランによる報復攻撃については「強く非難」すると確定的な評価をしている。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 イスラエルによるイラン大使館への攻撃について、上川陽子外務大臣は事実関係を十分に把握することが困難としている。これまでも、ガザ地区へのイスラエルの攻撃についても同様の答弁や発言が繰り返されているが、各国の報道でも十分に事実関係を把握することが可能だと考える。また、SNSにも被害の実態を伝える動画等の投稿が数多くされている。イランによる軍事行動は把握できてイスラエルによる軍事攻撃について事実関係を十分に把握できない理由について明らかにされたい。

二 上記の通り、各国が報道し、SNSでも被害の実態を伝える画像や動画が数多く投稿されているにもかかわらず、事実関係を把握することが出来ないような低い情報収集能力では安全保障上問題があると考えるが政府の見解を伺う。

三 大使館への攻撃に対して報復攻撃したイランのみを非難し、その攻撃のもとになる大使館攻撃を行ったイスラエルに対しては非難しないことはあまりにもバランスを欠いていると考える。「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と憲法で規定している我が国としては、過去の攻撃に対する報復であろうがあらゆる武力行使に対して、国際紛争を解決する手段として武力を用いる行為に対しては強く非難する姿勢を取るべきだと考えるが政府の見解を伺う。

四 少なくとも、四月十三日夜から十四日未明にかけてイランが行った攻撃に対して、イスラエルが報復攻撃を行った場合は、外務大臣談話を発表し、イスラエルに対しても強く非難するべきだと考えるが政府の見解を伺う。

  右質問する。