第213回国会(常会)
質問第一一四号 ガバメントクラウドファンディングにおける自治体と一部のNPO法人の不明瞭な関係に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年四月十六日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 ガバメントクラウドファンディングにおける自治体と一部のNPO法人の不明瞭な関係に関する質問主意書 ガバメントクラウドファンディング(GCF)は寄付を募るふるさと納税であり、大手GCFサイト運営会社によると二〇二三年には千七百以上の自治体が参加し、寄付総額は約百四十七億円に上り、約二千百プロジェクトが実施されていることが明らかにされている。自治体は地域課題と解決策を広く発信し、共感を得ることによって寄付を募っている。ガバメントクラウドファンディングは言い換えればクラウドファンディング型ふるさと納税であるが、行政が主体となっていることから寄付者の信用を得やすく、地域をより良くしたいという趣旨は理解が得られやすい。各自治体は地域課題を抽出し、地域課題の解決策としてプロジェクトの選定に関して公正な審査が必要となる。 一例として岡山県加賀郡吉備中央町ではサンクスホースプロジェクトという引退した競走馬を引き取り、再調教を施し、乗馬クラブ等への提供を図る事業を主としたプロジェクトを提示し資金を集めている。集められた資金は認定NPO法人サラブリトレーニング・ジャパンに交付されるが、当該NPO法人は再調教の施す施設すら保有しておらず民間の乗馬クラブに全頭の再調教を委託している。当該NPO法人には吉備中央町の町長が役員に就任しており、正会員には複数の町職員が名を連ねている。こうしたことに町民から不審に思う声が多く上がっている。 そうした状況を踏まえて政府に一般論としての見解を以下質問する。 一 自治体の長が、当該自治体が実施するガバメントクラウドファンディングの寄付の対象となる事業を運営し、当該自治体と賃貸借契約等の取引がある企業に関連する認定NPO法人の理事を兼職する正会員であることは妥当であるか。 二 自治体のふるさと納税の所管部署に所属する複数の職員が、当該自治体が実施するガバメントクラウドファンディングの寄付の対象となる事業を運営する認定NPO法人の正会員(社員)に名を連ねることは正当であるか。 三 自治体の長が、当該自治体が実施するガバメントクラウドファンディングの寄付の対象となる事業を運営する認定NPO法人の役職に、当該自治体のふるさと納税を所管する部署に所属する職員に対して就任するように命ずることは妥当であるか。 四 NPO法人は特定非営利活動促進法第二条二項二号において特定の公職者又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないことが定められているところ、自治体の長が当該NPO法人の役職者に就任することにより特定の公職者や政治家を支持していることが見当されると思料するがそれは適当であるか否か。 五 NPO法人設立には十名以上の正会員が必要となるが、正会員に本人の了承を得ずして不正に登録したことが発覚しても罰則規定がないことから看過される状況にあり是正する必要があると考えるが、政府の見解は如何。 六 自治体の長が役員を兼任するNPO法人が、当該自治体が保有する施設の一角を当該NPO法人の関連する事業会社を介して転貸を受ける行為は利益相反にあたると思料するが、政府の見解は如何。 七 ガバメントクラウドファンディングが普及する中で、集まった資金を、プロジェクトを実施する事業者に交付した後の効果や進展、結果、寄付金活用実績などについての公表を促す規定が必要だと思料するが、政府の見解は如何。 八 ガバメントクラウドファンディングの対象となっている事業を提案し、委託を受けるNPO法人について、当該事業によって得た補助金の余剰分を翌期に繰り越した額が、翌期の当該事業の計画で必要とされる予算額以上に上っている場合は、資金調達の必要性がないことからその期についてはガバメントクラウドファンディングの対象事業としないことが妥当と考えるが、政府の見解は如何。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |