質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第一一三号

引退する競走馬に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年四月十五日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   引退する競走馬に関する質問主意書

 日本中央競馬会は政府が全額出資する特殊法人であり農林水産省の外郭団体である。令和四年度の売得金は三兆二千億円を超え世界最大となっている。その売得金の約十%が第一国庫納付金となり納められ、その額は令和四年には約三千二百九十六億円に上る。各事業年度において利益が生じた場合には、その額の二分の一がさらに国庫に納付され、これが第二国庫納付金となり令和四年度は約二百八十四億円となっている。国庫納付金は国の一般財源に繰り入れられ、四分の三が畜産振興に、四分の一が社会福祉に活用されている。

 競馬事業が活況を見せる一方、競馬で走ることができなくなった馬たちのその後について語られることはあまりない。令和四年の競走馬の生産頭数は七千七百八十二頭、引退馬は七千二十七頭。このうち乗馬向けとして引き取られるのが三千四十二頭、繁殖用に利用されるのが千百九十四頭、病気や事故で亡くなったのが千十二頭、研究機関に引き取られたのが三十二頭であった。個人で飼育される引退馬もいるであろうが千七百四十七頭の余生は定かではない。現実的には引退馬全頭の余生を確保できる状況にはない。引退馬の余生を支援する団体も存在するが僥倖を得るのは一部の馬に過ぎない。以上を踏まえて以下質問する。

一 日本中央競馬会から納付される国庫納付金の使用用途として、畜産振興だけではなく引退した競走馬の終生飼養の支援の為に利用してはいかがか。

二 競走馬は「畜産農業に係る動物」であり農林水産省の管轄である。一方、個人飼養の馬は家庭動物、乗馬クラブやふれあい牧場の馬は展示動物であり環境省の管轄である。競走馬が引退した場合はその時点で即座に病死や事故死を除いて例外なく家庭動物もしくは展示動物となるのかを問う。

三 引退する競走馬を殺処分することは、その動物が命を終えるまで適切に飼養する「終生飼養」の責任を果たさず動物の愛護及び管理に関する法律に反する行為と思料するが政府の見解を伺う。

四 競馬法は畜産の振興に寄与する為と規定されているところ、引退馬の余生の確保も重要であり生産数とバランスをとる必要があると思料するが政府の見解を伺う。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。