第213回国会(常会)
質問第九七号 道府県原子力防災担当者連絡会議の議事録に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年四月二日 山本 太郎
参議院議長 尾辻 秀久 殿 道府県原子力防災担当者連絡会議の議事録に関する質問主意書 令和五年十一月十六日の参議院環境委員会において、内閣府政策統括官(原子力防災)が主催する「道府県原子力防災担当者連絡会議(以下「道府県会議」という。)」について、伊藤信太郎・原子力防災担当相は「原子力防災に係る行政事務を行うに当たり、国からその円滑化に資する説明及び情報共有とその説明等について質疑応答を行う場」と答弁した。 令和元年度以降に開催された道府県会議の配布資料については、令和五年七月二十四日付の行政文書開示決定(府政原防六八一号)に基づき開示されたが、議事録(議事概要も含む)については「作成又は取得していない」として不開示だった。 令和五年十一月十六日の参議院環境委員会において、道府県会議の議事録を作成しない理由について、伊藤担当相は「関係道府県の実務担当者から忌憚のない意見等を妨げる懸念があると。また、同会議の趣旨を踏まえ、同会議は、審議会等の整理合理化に関する基本計画の懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針の示される懇談会等の行政運営上の会合には該当しません。したがって、行政文書の管理に関するガイドラインに基づき、道府県会議の議事録について作成する必要がないものと判断し」たと答弁した。 ところが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第十一条の特例延長を経て、令和六年一月十九日付の行政文書開示決定(府政原防第六六号)に基づき開示された平成二十六~三十年度に開催された道府県会議の資料には、全ての発言を記録した逐語と思われる議事録及び議事概要が多数含まれていた。最後の議事概要は、平成三十年五月二十二日開催の平成三十年度第一回会議のものだった。 森友学園問題に係る財務省の決裁文書改ざん問題や加計学園問題を巡る「総理の御意向」文書の問題、防衛省のPKO部隊の日報問題など、いわゆる「公文書スキャンダル」が相次いだのを受け、内閣府は平成二十九年十二月二十六日、行政文書の管理に関するガイドライン(以下「公文書管理ガイドライン」という。)を改定した。 公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)は「当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう」文書を作成しなければならない、と規定しており(法第四条)、こうして作成された文書について適切な保存期間を設定するよう、「保存期間一年未満」とできる文書を限定することが、このガイドライン改定の主眼であると理解できる。つまり、経緯を含めた意思決定過程を記録した文書を一定期間保存しておき、行政文書開示請求を受けた場合は開示決定するよう求める趣旨と理解できる。 これらの事実を踏まえて以下の通り質問する。 一 道府県会議の議事録を作成しない理由について、伊藤担当相は「関係道府県の実務担当者から忌憚のない意見等を妨げる懸念がある」と答弁したが、平成三十年度第一回会議を最後に議事録(議事概要)の作成をしなくなった理由、及び作成をやめるきっかけとなった出来事を明らかにされたい。 二 上記「道府県会議議事録」の作成中止と、平成二十九年十二月二十六日の公文書管理ガイドライン改定に関係がある場合、どのような関係があったのか明らかにされたい。 三 令和五年より以前に道府県会議の議事録及び議事概要の行政文書開示請求を受けたことがあるか、また請求を受けて開示したことがあるかを明らかにされたい。 四 道府県会議の議事録を意図して作成しない行為は、公文書管理法及び公文書管理ガイドラインの趣旨に反するものと考えるが、改めて見解を明らかにされたい。また今後も道府県会議の議事録を作成しない方針か明らかにされたい。 右質問する。 |