第213回国会(常会)
質問第九六号 収支報告書不記載金額分の納税義務に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年四月二日 須藤 元気
参議院議長 尾辻 秀久 殿 収支報告書不記載金額分の納税義務に関する質問主意書 昨今、収支報告書の記載漏れ資金が政治家個人に流れていたということが取りざたされている。 政治団体は法人税が非課税のため税務調査ができないという意見もあるが、政治家個人の所得には所得税が課せられており、パーティー券販売のキックバックを収支報告書に記載せずに個人として保有しているのであれば政治家個人としての「雑所得」として確定申告を行うべきである。そういった資金を期をまたいで個人で保有していたとなれば、過去七年に遡って税務調査を行う権限を国税庁は有しているはずだが、そういった動きも見られない。 これだけ大々的に収支報告書記載漏れの額が報じられているなかで、政治家に対しては納税を求めず、国民に対しては確定申告による納税を求めるのは明らかに税の「公平負担の原則」に反している。 それをもって以下質問する。 一 一般国民に対して確定申告を求める一方、政治家が収支報告書に記載せずに保管した資金に対して、国税局が確定申告あるいは過去に遡って修正申告を求めないのは何故か。 二 今回の報道で、収支報告書を過去数年に遡って修正した政治家個人に対して、国税局が税務調査を行わないのは何故か。政治団体を持っていれば、政治家個人は修正申告のみで所得隠しが許されるのか。 三 前記二に関連して、それらの政治家個人に対して、国税局が納税を求めないのは何故か。 四 三月二十六日の報道によると、参議院予算委員会で鈴木財務大臣が「政治資金の納税の関係に疑義があれば、議員がみずからの課税関係を確認し、説明責任を果たして疑義を晴らしてもらいたい。税務行政の中立性を確保する観点から財務大臣として国税庁に調査を指示することは控えたい」と述べたことが報道されている。「税務行政の中立性を確保する観点から財務大臣として国税庁に調査を指示することは控えたい」という公権力の濫用を控える点は理解できるものの、一般国民と政治家の間で既に「税務行政の中立性」が崩れている実態を是正するよう求めない姿勢は税の「公平負担の原則」に反するのではないか。 五 インボイス制度が開始したことにより、多くの国民が不公平な税負担に不満を抱いているなかで、政治家は収支報告書を修正すれば所得隠しという所得税法上の重罪が見逃されるという抜け穴を残すことは、国民から政治家個人は「公平負担の原則」から著しく逸脱しているとのそしりを免れない。国民からの批判に真摯に対応するには、収支報告書の不記載分を修正するのみにとどまらず政治家個人が修正申告を行い、納税及び追徴課税を払うという一般国民と同じルールで厳格に運用すべきである。それを徹底しない理由は何か。政府見解を示されたい。 右質問する。 |