質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第九五号

麻疹感染者の増加とMRワクチンの二回目接種に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年四月一日

石垣 のりこ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   麻疹感染者の増加とMRワクチンの二回目接種に関する質問主意書

 国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると令和六年三月二十一日現在、麻疹累積報告数は二十となっている。令和二年以降、コロナ禍で海外渡航が自粛されたことで海外から麻疹が持ち込まれることが減少していたが、新型コロナ感染症の五類移行により海外との往来が活発になったことが影響していると考えられ、海外での感染動向を踏まえると令和元年のように国内で感染が拡大する懸念が高くなっている。

 麻疹について日本は平成二十七年に世界保健機関(以下「WHO」という。)から土着のウイルスがいない「排除状態」になったと認定されており、現在、国内で報告されているのは海外から入国したり、帰国したりした人が感染していたケースに限られている。

 麻疹の感染予防にはワクチンを二回接種することが有効であり、現在、麻疹と風疹を予防する「MRワクチン」を、「定期接種」として一歳以上二歳未満のときに一回目、小学校入学前の五歳以上七歳未満の時に二回目を接種することになっている。

 また、定期接種が二回接種となる平成十二年四月一日以前に生まれた方について、平成二十年から五年間の期間限定で、中学一年相当、高校三年相当の年代に特例措置として二回目の接種が行われている。

 国は、定期の予防接種についてそれぞれの接種率が各年代で九十五パーセント以上となることを目標としているが、令和四年度のMRワクチン接種の接種率は一回目では九十五・四パーセントと過去十年で二番目に低く、二回目は九十二・四パーセントと過去十年で最も低くなった。

 海外での感染状況及び海外との往来が活発化していることを踏まえ、上記の特例措置で接種していない者も含めて二回接種していない者に対して、二回目の接種を推奨することが必要だと考える。

 一方で武田薬品工業が「MRワクチン」及び「麻しんワクチン」の一部ロットにおいて力価が有効期間の満了前に承認規格を下回ることが確認されたこと、また有効期間満了前に承認規格を下回る可能性があることが判明し自主回収をしており、MRワクチンが不足している医療機関が出ている。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 令和四年度のMRワクチン二回目の接種率が低いことを踏まえ、定期接種の年齢を過ぎた場合でも公費で接種が出来るよう特例措置を検討すべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 平成二十年に実施した特例措置の際に接種していない者に対しても改めて接種を促すとともに、改めて特例措置を設けることも検討すべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 麻疹の感染が報じられたことで接種希望者が増加することが予想される。医療機関においてワクチン不足が生じ、定期接種の対象の者、特に一回目の接種の者が接種できないことが起こらないよう、メーカーや卸業者に安定供給に努めるよう求める必要があると考える。特に地域格差が起こらないよう十分に配慮して計画を立てることを求めるべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。