第213回国会(常会)
質問第九四号 技能実習、特定技能等の在留資格で長期滞在する外国人のワクチン接種に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年四月一日 石垣 のりこ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 技能実習、特定技能等の在留資格で長期滞在する外国人のワクチン接種に関する質問主意書 三月一日にアラブ首長国連邦から帰国した大阪府の男性が麻疹に感染していることがわかり、これまでにこの男性を含め、同じ飛行機に乗っていたなどの男女あわせて十人以上で感染が確認された。また、三月十八日に東京都で東南アジアから帰国した男性の感染が確認されていて、国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると令和六年三月二十一日現在、令和六年の麻疹累積報告数は二十となっている。 日本は平成二十七年に世界保健機関(以下「WHO」という。)から土着のウイルスがいない「排除状態」になったと認定されており、現在、国内で報告されているのは海外から入国したり、帰国したりした人が感染していたケースに限られている。 麻疹の感染予防にはワクチンを二回接種することが有効であり、現在、麻疹と風疹を予防する「MRワクチン」を、「定期接種」として一歳以上二歳未満のときに一回目、小学校入学前の五歳以上七歳未満の時に二回目を接種することになっている。 また、定期接種が二回接種となる平成十二年四月二日より前に生まれた方について、平成二十年から五年間の期間限定で特例措置として二回目の接種が行われた。 この特例措置により当該年齢層の抗体保有率が上昇し、麻疹の発生数は大幅に減少した。また、平成二十七年にWHOによる麻疹排除状態の認定を得て、その状態を維持しており、現在では二歳以上のほぼ全年代において、抗体保有率は九十五%以上に保たれている。 しかし、令和四年度のMRワクチン接種の接種率は一回目では九十五・四パーセントと過去十年で二番目に低く、二回目は九十二・四パーセントと過去十年で最も低くなった。 コロナ禍により海外への渡航が制限されていたものが解除され、移動が活発になっていることが感染者を増加させていると考えられることから、国外からの持ち込みを防ぐこと、持ち込まれた場合に感染を拡大させないことが求められている。 現在、技能実習の在留資格で日本に滞在する外国人が約四十万人、特定技能では約二十万人にのぼる。また、技能実習に替わる新たな在留資格として育成就労を設ける法改正を政府は提案している。 これらの在留資格で入国する外国人はそれぞれの国の制度に基づいてワクチン接種を行っていると考えられるが、どのワクチンが定期接種化しているかなど国により制度が異なるため、日本で定期接種化されているワクチンを接種せずに来日している外国人も多くいると考えられる。 MRワクチンに限らず、ワクチン接種は、自らが病気にかかりにくくなるだけでなく、社会全体でも流行を防ぐ効果があることから、数年に渡って日本に居住する外国人に対してもワクチン接種を進める必要があると考える。 しかしながら、技能実習や特定技能の在留資格を取得するにあたって、ワクチン接種は要件とはなっていない。 日本国内における各種感染症の感染拡大を防ぐ為にも、中長期で滞在する外国人についてもワクチン接種を義務付ける必要があると考える。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 技能実習や特定技能等の在留資格で中長期に滞在する外国人について、自国でどのワクチン接種をしているか把握する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。 二 集団免疫の観点から、日本で定期接種化されているワクチンについては日本で中長期に滞在する外国人も接種する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。必要がないとする場合は社会全体の防疫に影響を及ぼさない理由を説明されたい。 三 育成就労や特定技能等の在留資格の要件に、日本で定期接種化されているワクチンの接種(入国後の接種でも可とする)を加える必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。 四 技能実習に替わる育成就労や特定技能の在留資格で中長期滞在する外国人については、雇用主にそれぞれの外国人についてワクチン接種歴の把握、接種していないワクチン接種の推奨を義務付ける必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |