質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第九二号

赤い羽根共同募金の受配者が社会福祉法第百二十二条の禁止事項に反して寄附金を募集し集めていること等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年四月一日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   赤い羽根共同募金の受配者が社会福祉法第百二十二条の禁止事項に反して寄附金を募集し集めていること等に関する質問主意書

 共同募金運動は昭和二十二年より「国民たすけあい運動」として始まり、現在社会福祉法に定められている共同募金事業は、社会福祉施設等が個々に募集するよりも、社会福祉事業への寄附金募集を一元的に合理化して、寄附金を効率的に活用できるようにすることを動機の一つとして考案された制度である。社会福祉法第百二十二条は、こうした共同募金の本来の趣旨等を踏まえて、同じ目的で寄付金募集はされない旨を明らかにする趣旨で「共同募金の配分を受けた者は、その配分を受けた後一年間は、その事業の経営に必要な資金を得るために寄附金を募集してはならない。」と定めている。他方、共同募金の受配者の団体ホームページなどを確認すると、団体事業の経営に必要な資金を得る目的で寄附金を募集している団体が確認でき、受配者や受配者を決定している共同募金会に対する不信の声がインターネット上で散見される。これは共同募金制度そのものを脅かす事態であり、社会福祉法に定められた共同募金とその善意及び寄附金の効率的且つ公平公正な配分をする目的に反した禁止行為に基づいて得られた収益に対して、課税の公平性からも適正な運用を行い国民の信頼回復に努める必要があると考える。

 なお、東京都共同募金会は令和五年度から社会福祉法第百二十二条に関する法令順守を受配希望者へ明示的に促していることも確認している。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 具体例として特定非営利活動法人BONDプロジェクトが平成三十年十二月に共同募金であるNHK歳末たすけあい名目で共同募金を受配したことが日本放送協会の広報及び中央共同募金会の公告から確認されている。同法人は社会福祉法第百二十二条の寄附金募集の禁止に該当する受配者であることになるが、受配後の寄附金募集の禁止期間を跨いで継続的に寄附金募集を行っていることも併せて確認されている。この期間における寄附金募集は違法行為であると考えられるが、政府の見解如何。

二 共同募金の受配者が、配分を受けた後一年以内にその事業の経営に必要な資金を得るために寄附金を募集し、その期間において受配者が受領した寄附金は、法人税法第二十五条の二の各項の受贈益になるのではないか、政府の見解如何。

三 社会福祉法の共同募金の配分における公平性と公正性の観点から、共同募金の受配者が法令で禁止された違法行為に基づいて得た受贈益は、法人税法上の受贈益として課税されるべきであると考えるが、政府の見解如何。

四 前記三に対する政府の見解が、禁止期間に集められた寄附金が法人税法上の受贈益として課税対象とならないとする見解である場合、社会福祉法第百二十二条の共同募金受配者の寄附金募集の禁止と違法行為は特定の法人格に対してのみ看過されることになるが、法の下の平等と公平性は保たれるのか、政府の見解如何。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。