第213回国会(常会)
質問第八五号 LD(学習障害)、ディスレクシア、発達障害等により文字の読み書き学習に著しく困難を抱える児童生徒の教科書に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年三月二十六日 石垣 のりこ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 LD(学習障害)、ディスレクシア、発達障害等により文字の読み書き学習に著しく困難を抱える児童生徒の教科書に関する質問主意書 一般的な理解能力などに特に異常がないが文字の読み書き学習に著しい困難を抱えるLD(学習障害)、ディスレクシア、発達障害等の児童生徒にとって、学校で使用される一般的な検定教科書に記載されている内容を把握することは困難である。 このような児童生徒に対し、音声教材、デイジー教科書の使用が推奨されている。また、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律(以下「教科書バリアフリー法」という。)において無償給付の対象とされている教科用拡大図書(以下「拡大教科書」という。)にルビ振り対応もできるようになっている。 令和四年に文部科学省が実施した全国実態調査においては、小学校及び中学校の通常の学級において、知的発達に遅れはないものの学習面で著しい困難を示すと担任教師等が回答した児童生徒の割合は六・五%あると報告されている。 しかし、令和四年度のデイジー教科書の利用児童生徒数は一万九千五百八十八人で児童生徒の〇・二%程度にとどまっている。 文部科学省は地方自治体の担当者を集めた会議等で上記の教科書の活用について説明をしているとのことだが、児童生徒に支給するかどうかを判断する地方自治体の担当者及び一般の教員にまで浸透させる必要がある。 以上を踏まえ、以下質問する。 一 デイジー教科書について、都道府県ごとの利用児童生徒数の実績をみると地域差が大きく、特に、北海道、東北、四国地方の中に著しく低い県がある。地域間格差をなくすために所管課長等を対象とした会議を各地域で開催するなど市町村教育委員会の職員や一般教員まで制度を周知する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。 二 デイジー教科書は児童生徒に配付されているタブレットにダウンロードして使用される教科書になるが、児童生徒の中には「みんなと違うことが嫌」ということで使用しない場合もある。児童生徒から教科書の相談を受けた際に教員や地方自治体の教育委員会の担当者はデイジー教科書と合わせてルビ振りをした拡大教科書も紹介する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。 三 教科書バリアフリー法に基づき拡大教科書などの教科用特定図書等の無償給与に関する手続等を定めた「障害のある児童及び生徒のための「教科用特定図書等」の無償給与実施要領」の給与対象者は視覚に障害がある児童生徒を対象とする記載になっており、視覚には障害のない読み書き学習に著しい困難を抱える児童生徒も対象となっているとは読み取れない。読み書き学習に著しい困難を抱える児童生徒も対象となり得ることを明記すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |