質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第八三号

いわゆるパンデミック条約及び国際保健規則改正関連の情報開示に対する関係省庁の姿勢に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年三月二十六日

須藤 元気


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   いわゆるパンデミック条約及び国際保健規則改正関連の情報開示に対する関係省庁の姿勢に関する質問主意書

 今年の五月に開催される世界保健機関の総会に向けて、いわゆるパンデミック条約と国際保健規則(IHR)の改正が議論されている。そのような中、パンデミック条約の交渉内容や国際保健規則の改正案について疑問を抱く議員らが集ってWCH議員連盟を立ち上げ、その交渉の内容について関係省庁の職員と質疑を行った。

 通算で五回ほど開催されたWCH議連だが、関係省庁からは殆ど情報が得られなかったことに対して、関係者や国民からは不満の声が上がっている。

 それをもって以下質問する。

一 IHR改正案を一切開示していないのは、加盟国の中でも日本だけだという指摘が国際社会で上がっている。その他の加盟国が、改正案を開示しているのに対して、日本政府がかたくなにそれを秘匿する理由は何か示されたい。

二 パンデミック条約及びIHR改正議論において、政府からの十分な情報開示がなされない背景に公務員制度改革や特定秘密保護法が関与していないか。二〇二四年一月二十日に発行された月刊誌「ウェッジ」によると、二〇一四年の公務員制度改革において、幹部人事一元管理と内閣人事局の創設がなされた。それ以降、首相が人事という手段を駆使して、首相の望む結果を出すべく慢心する家臣型官僚への転換が目指されたとの指摘がなされている。

 人事一元管理となったために官僚が首相に逆らいにくくなったとの指摘もあり、当初、国家公務員制度改革基本法(以下「基本法」という。)に盛り込まれようとしていた「政官関係の透明化」が盛り込まれなくなったために、政官関係が不透明となり首相の望み通りに動く行政が出来上がってしまった。

 権力暴走のチェックアンドバランス機能として、二院制という仕組み、そして野党が存在するが、肝心の情報が公開されなければその機能は失われる。民主主義に必要とされる情報への「アクセシビリティ」と「トランスペアレンシー」が棄損された現状のシステムでは、もはや民主主義がその機能を失いつつある。

 今後、基本法を改正して、政官関係の透明化をはかり、権力の中央集権化にバランスを取る施策を打たなければ非民主主義的な「独裁国家」としてのそしりを免れないと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 パンデミック条約及びIHR改正案の交渉内容については、特定秘密の保護に関する法律で指定された特定秘密に該当する部分は存在するのか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。