第213回国会(常会)
質問第六七号 日本たばこ産業株式会社(JT)のロシア事業に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年三月八日 松沢 成文
参議院議長 尾辻 秀久 殿 日本たばこ産業株式会社(JT)のロシア事業に関する質問主意書 日本たばこ産業株式会社(JT)は、日本政府が三分の一を超える株式を保有する特殊会社であり、日本政府は日本たばこ産業株式会社法第十二条により監督権限を有している。JTの完全子会社であるJTインターナショナル(JTI)は、ロシア国内で三十五%のシェアを占める同国最大のたばこ会社であり、四つの巨大工場に四千人以上の雇用を抱え、二〇二〇年度にロシアの歳入額の一・四%、日本円にしておよそ四千億円もの納税を行っている。また、現在では、ロシア経済においてJTIの売上高は外資系企業の中で最大となっている。 二〇二二年二月にロシアがウクライナ侵攻したことを受け、同年三月に開催されたJTの株主総会で、株主の立場から財務省理財局次長は、「これらの動向(ロシア・ウクライナの状況及び両国を巡る国際社会の動き)等を注視し、適時適切に対応されることを強く期待している。」と発言した。 その後、ロシア国内での事業から西側諸国の企業が相次いで撤退する中、JTIは現在もなお事業を継続している。 こうした状況を受け、昨年八月に、ウクライナ政府は、JTIの納税額が戦闘機約百機分にも相当することを厳しく非難したうえで、JTIを「戦争支援企業」に指定した。 日本政府は、G7の一員としてウクライナへの支援とロシアに対する強力な経済制裁を主導する立場にあり、このままJTに対しロシア事業からの撤退を指導しなければ、政府系企業に利敵行為を放任する「戦争支援国家」として国際的に非難されることにもなりかねない。 そこで、以下質問する。 一 日本政府は、JTの発行済株式の三分の一を超える株式を保有する筆頭株主であり、日本たばこ産業株式会社法第十二条により財務大臣は監督権限を有しているが、JTIがウクライナ政府により戦争支援企業に指定されたことについて、政府の見解を明らかにされたい。 二 二〇二二年の株主総会での発言を踏まえ、現時点で、政府はJTが適時適切に対応していると考えているのか。 三 本年二月十三日の決算会見で、JTの寺畠正道社長は、「今のところ、事業継続に関して大きなネガティブな要因はない」と述べ、事業を継続するスタンスに変更がない姿勢を明らかにした。そこで、三月二十二日にJTが開催を予定している株主総会において、JTIがロシア国内で展開する事業から撤退するよう政府は強く要請するべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 四 財務省を退職しJTの取締役副会長を務めている岡本薫明氏及び外務省を退職し同社の取締役を務めている木寺昌人氏を通じ、JTIがロシア国内で展開する事業から撤退するようJTに対して要請すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 右質問する。 |