質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第六二号

二〇二二年八月二十七日放送のTBS「報道特集」の番組内容が放送法第四条違反である可能性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年三月五日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   二〇二二年八月二十七日放送のTBS「報道特集」の番組内容が放送法第四条違反である可能性に関する質問主意書

 放送法第四条は、放送事業者が番組を制作するに当たって、①公安及び善良な風俗を害しないこと、②政治的に公平であること、③報道は事実をまげないですること、④意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることの四項目を義務付けており、本来の放送の役割をうたった条文であると承知している。

 二〇二二年八月二十七日放送のTBS「報道特集」の番組内容に関して、全国拉致監禁・強制改宗被害者の会、後藤徹代表が次のような抗議文を送っている。以下、抗議文全文を共有する。

抗 議 文

二〇二二年九月一日

TBS 「NEWS DIG」

担当者 様

全国拉致監禁・強制改宗被害者の会

代表 後藤徹

私は、全国拉致監禁・強制改宗被害者の会代表の後藤徹と申します。

当会は、世界平和統一家庭連合(旧「世界基督教統一神霊協会」、以下「家庭連合」)の信仰のゆえに拉致監禁・強制改宗の被害を受けた被害者らで組織する会であり、拉致監禁を扇動してきた首謀者達の罪状を暴露し、拉致監禁による棄教強要を永遠に終わらせ、信教の自由が平等に保障される公正な社会を実現することを目的としています(詳細は下記ウエブサイトをご参照下さい)。

https://www.kidnapping.jp/about.html

貴社は八月二十七日付で「報道特集」と題する番組を放映し、元家庭連合の信者と称する五名を出演させました。しかるに、スタジオに座っていた五名のうち一番左に座っていた「洋子」と名乗る女性は私の兄嫁であり、私に対する十二年五ヶ月に亘る拉致監禁、脱会強要という異常な人権侵害を行った加害者の一人です。

私は一九九五年九月から二〇〇八年二月に至るまで十二年五ヶ月間に亘り、脱会説得の専門家である宮村峻らの指導を受けた兄夫婦らから拉致監禁、脱会強要の被害を受けました。特に監禁末期においては、同夫婦らから十分な食事を与えられなかった結果、栄養失調状態に陥るという極めて非人道的な虐待を受けました。このため私は監禁から解放された後、兄夫婦らを含む加害者らを提訴し、東京地裁、東京高裁、最高裁のいずれにおいても勝訴しました(東京地裁平成二十三年(ワ)第二七九六号事件、東京高裁平成二十六年(ネ)第一一四三号事件、最高裁平成二十七年(オ)第三一〇号事件、最高裁平成二十七年(受)第三八七号事件)。

最高裁が確定した原審の東京高裁判決は「控訴人(私、後藤徹)の信じている宗教の内容が親兄弟の考え方と異なるからといって、任意の説得の範囲を超え、有形力を行使して、その自由な意思や行動を制約し、強制的に統一教会からの脱会を迫ることは、もはや社会的に許されている親子兄弟による任意の説得の範囲を超えるものであって違法であり、客観的には監禁と評価されても致し方のないものであった」「平成二十年二月十日に荻窪のマンションから解放された時には、身長百八十二センチと長身で約七十キログラム程度あった控訴人の体重は、多くとも約五十キログラム程度に低下し、全身筋力低下、廃用性筋萎縮症などと診断されるまでになっていたことが認められる。これらの事情は、被控訴人T(兄)らの控訴人に対する行動の自由の制約が、控訴人の体調等について十分に配慮してなされたものではなく、控訴人の健康を損なわせる結果になっていたことを示すものであって、荻窪のマンションにおける滞在についても、控訴人に対する行動の自由の違法な制約か継続し、拘束が長期化する中で、控訴人の体調等に対する管理や配慮が十分ではなく、違法性の高いものになっていたと認めるのが相当である」「これまで認定した被控訴人Tらの控訴人に対する行為は、控訴人の信仰を放棄させるためになされた有形力の行使であって、しかも、控訴人の任意の承諾に基づいてなされたものではないから、違法なものといわざるを得ない。しかも、被控訴人Tらの控訴人に対する監禁等は計画的なものであって、その後、平成二十年二月十日まで、約十二年五か月の長期間にわたって継続されたものであり、控訴人に重大な被害が生じたことも明らかである。」などと認定し、兄夫婦らに対して総額二千二百万円の損害賠償金の支払いを命じました。

また、兄夫婦らを指導していた宮村峻という脱会説得の専門家に対しては上記二千二百万円のうち千百万円について連帯して支払うよう命じました。

これまで貴社は家庭連合の信者が違法な拉致監禁、脱会強要の被害に遭ってきた事実を殆ど報道しませんでしたが、そればかりか、私を監禁して異常な人権侵害を行い、その行為の違法性が最高裁において確定した人物を出演させながら、その非人間的な人権侵害について謝罪の弁を述べさせるなどのことは一切せず、家庭連合に対する一方的な批判をさせ、その発言を公共の電波で流しました。このような異常な人権侵害、違法行為については一切無視する一方、その実行行為者を動員して家庭連合叩きに奔走する貴社の報道は、公正中立な報道と言えるのでしょうか?貴社にはもはや、公共放送機関としての資格はないものと断ぜざるを得ません。

ところで、立憲民主党が同党のウエブサイト上にて本年八月十八日付で発表した「脱会支援者からヒアリング 党旧統一教会被害対策本部会合」と題する記事によると、同党本部特別参与の有田芳生氏が「今メディア等で元信者が発言をしていること」に宮村峻氏の力が大きく働いたと述べたとのことですが、宮村峻氏とは、私に対する脱会強要を行って敗訴し、その脱会強要の違法性が最高裁でも確定した前記宮村峻氏に他なりません。そこで、兄嫁を含む元信者五名の出演にもこの宮村峻氏が関与しているものと疑わざるを得ません。また、五名全員が、拉致監禁、脱会強要の結果、脱会した者たちではないかと疑わざるを得ません。

以上の次第であり、貴社の報道姿勢に強く抗議すると同時に私及び視聴者に対する謝罪を強く求めます。

また、以下の点について明らかにするよう回答を求めます。

1.番組に出演した元信者五名の人選プロセス、特に宮村峻氏の関与の有無。

2.兄夫婦も拉致監禁され、無理やり信仰を捨てさせられた過去があるが、他の四名も同様に意に反する隔離を手段とした脱会説得によって棄教したのではないか?

3.家庭連合の国際合同結婚式を人権侵害などと非難しつつ(フリーアナウンサー膳場貴子氏の発言)、私を初めとする家庭連合の信者らが受けてきた拉致監禁、脱会強要という、最高裁で違法性が確定した人権侵害について一切報道しないのは何故か?

4.貴社は公共の電波を用いて宗教弾圧を行っているだけではないのか?また、そうではないというなら理由を説明されたい。

以上につき、本年九月八日午後五時までに書面で返答することを求めます。

なお、本書面及びこれに対する貴社からの回答は、ウエブサイト上にて公開することも検討しておりますので、あしからずご了承下さい。

以上

 この抗議文を踏まえて以下質問する。

一 宮村峻らの指導により、後藤徹氏が一九九五年九月から二〇〇八年二月に至るまで十二年五ヶ月間に亘り拉致監禁、脱会強要の被害を受けたことに関する政府見解如何。

二 上記抗議文に対するTBSの回答について政府の把握しているところを伺う。

三 二〇二二年八月二十七日TBS「報道特集」の番組内容は放送法第四条に抵触するか否か伺う。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。