質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第五四号

政治参加の門戸を広げるための選挙供託金制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年二月二十九日

神谷 宗幣


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   政治参加の門戸を広げるための選挙供託金制度に関する質問主意書

 現在、選挙に出馬するためには、衆議院小選挙区で三百万円、比例代表で六百万円の供託金が必要である。候補者が一定の得票数に達しない場合、供託金は没収される。

 このような我が国の高額な供託金制度は、諸外国と比較しても異例であり、自由な立候補の機会を妨げる一因となっている。このことは、第百七十一回国会の衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会などでも指摘されている。

 諸外国の例を見れば、イギリスでは、一九八五年に供託金を五百ポンド(現在の日本円で約九万五千円)に設定し、没収基準を有効投票総数の五%に引き下げている。アメリカやフランス、ドイツ、イタリアなどの先進国では、供託金制度を設けず、例えば、ドイツでは立候補に必要な署名数を定める制度を採用している。

 二〇二二年のデータによると、我が国の二十五歳から二十九歳の正規雇用者の平均年収は、約三百七万円である。この金額は、現行制度下の立候補に必要な供託金とほぼ同額である。

 この点、政府は、供託金制度について、「当選を度外視して多数の候補者が出ることを防止するため」(自治相答弁、一九九四年二月二十一日、衆議院予算委員会)旨答弁している。しかし、高額な供託金は、資金調達が困難な個人や新規参入者にとって大きな障壁となり、憲法により保障される平等な選挙参加機会の原則に反する。また、供託金や選挙資金を準備する過程で、候補者が特定の個人や団体からの支援に依存することにもつながるという、制度が意図していない副作用を生んでいる。

 政府は、若年世代の意見を政治に反映させるために公職選挙法を改正し選挙年齢を引き下げたが、供託金制度についても、同様の視点からの改正が必要な時期に来ているのではないだろうか。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 現行の供託金制度について、政府はどのようにその必要性を評価しているか。特に、他国と比較して高額であることに関する政府の見解を示されたい。

二 供託金制度が、特に若年層や経済的に余裕のない候補者に対して不公平な障壁となっている可能性について、政府はどのように考えているか。

三 現行の選挙供託金制度における供託金の金額に関して、我が国の物価高騰や経済状況の変化を踏まえ、これまでに下方見直しを検討したことがあるか。

四 政府は、若年世代の政治参加を促進するために選挙年齢を引き下げたが、供託金制度に関しても同様の視点からの改革を検討するか。

  右質問する。