第213回国会(常会)
質問第三九号 原子力発電環境整備機構の費用負担による地方議員の視察旅行に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年二月十六日 石垣 のりこ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 原子力発電環境整備機構の費用負担による地方議員の視察旅行に関する質問主意書 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律により設立された原子力発電環境整備機構(NUMO)(以下「機構」という。)は原子力発電所の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地の選定を行っている。 その一環として候補地に選定される可能性のある地方自治体の地方議員による青森県六ヶ所村や北海道幌延町に所在する最終処分関連施設の視察を機構が宿泊費、交通費等の負担をして行っている。 長崎県対馬市の対馬市政治倫理審査会は、令和三年十月から令和五年四月までの間に上記視察に参加した十名の市議会議員に対する調査請求を受け、令和五年十二月一日に調査報告書をまとめた。同報告書では、調査対象となった十名の市議会議員は、機構が費用の多くを負担する視察旅行に参加したことが対馬市政治倫理条例第三条第一項第四号に規定する企業団体等からの寄附及び金品の授受にあたり、その行為が条例違反であるとしている。 また、同報告書によると、機構による施設見学の費用負担は財産上の利益供与に当たり、市民全体の利益を図るものではなく、機構の利益を図るおそれがある関係性を有するのではないかとの懸念を生じさせるとし、その他団体からの、政党及び政治資金団体以外の者に対する政治活動に関する寄附として、政治資金規正法第二十一条第一項及び第二十二条の二に違反する疑念もあり、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附に当たると判断している。 令和五年十二月十一日に開催された「総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会特定放射性廃棄物小委員会」において、同報告書が取り上げられ、委員より地方議会議員による視察旅行について「この行為は刑法第百九十七条の贈収賄の疑いもあるのではないか。このような法令違反の疑いがあり、刑事告発を受ける可能性すらある視察旅行を市議会議員にそのリスクを負わせてまでこれからも継続するつもりがあるのか」旨質問があった。この問いに対し、機構は「実際に現場を見ていただくことは必要だ。今後も必要があれば鋭意やっていく」旨回答している。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 対馬市議会議員以外に地方自治体議員の視察旅行が機構の費用負担で行われたことがあるのか。あるとしたら、その議会名、回数、日時等を明らかにされたい。 二 対馬市政治倫理審査会の報告書において、「市民全体の利益を図るものではなく、機構の利益を図るおそれがある関係性を有するのではないかとの懸念を生じさせる」「その他団体からの、政党及び政治資金団体以外の者に対する政治活動に関する寄附として、政治資金規正法第二十一条第一項及び第二十二条の二に違反する疑念もある」と指摘されているが、報告書についての政府の見解を伺う。 三 令和五年十二月十一日に開催された「総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会特定放射性廃棄物小委員会」において、委員より地方議会議員による視察旅行について刑法第百九十七条の贈収賄の疑いもあると指摘されているが、この指摘に対する政府の見解を伺う。 四 機構は今後も視察旅行を続けると回答しているが、対馬市政治倫理審査会の調査結果を受けても継続することの適否について政府の見解を伺う。 右質問する。 |