第213回国会(常会)
質問第三七号 いわゆる避難所ガチャを作らないための「日本版スフィア基準」創設に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年二月十六日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 いわゆる避難所ガチャを作らないための「日本版スフィア基準」創設に関する質問主意書 アルピニストとして著名な野口健氏が、令和六年二月十三日にX(旧Twitter)上で述べていることとして、災害時の避難所設営において避難所各所で大きな格差を生まないため、特に劣悪な環境の避難所を生じさせないために、海外での難民キャンプや避難民キャンプ設営時に用いられている「スフィア基準」がある。以下、同氏のコメントを原文そのまま掲載する。 ○今回、よく「避難所ガチャ」という言葉を耳にします。確かに避難所にてよって生活環境にかなり差がある様に感じられました。例えば避難所に被災自治体の職員が配置されている避難所と派遣されていないところではその差が明確に現れるケースも。被災自治体の財政から生じる差というものもあれば、首長の避難所への熱量の差から生じるケースもあるのだろうと。以前の災害時にダンボールベッドを持って行った際に「日本人は布団の文化。ダンボールベッドなど必要ない」と。またプライバシー保護の観点から「体育館の中にテントを張りたい」とご提案しましたら「被災者からプライバシーの確保云々という要望は上がってきていない。つまり、その必要性がないということ」と発言された首長がいらっしゃいました。ある程度の「格差」はやむを得ないにしても、可能な限り「差」を埋めていかなければならない。災害が起こるたび、避難所の設営にあたふたする様子も見聞きします。海外の難民キャンプ、非難民キャンプでは「スフィア基準」が一つの目安になっています。避難されてくる人々の人権をいかに守るのかがテーマ。スフィア基準の資料を熊本地震のテント村の際に入手し大いに参考にさせて頂いた。一人当たりに用意するスペースやトイレの数。例えばトイレにかかる時間は男性が三十秒に対し女性は九十秒。従って女性用トイレは男性用トイレの三倍の数を用意しなければならない。これ以外にも実に事細かく被災者への配慮がされている。「日本の避難所はソマリアの難民キャンプ以下」と表現された専門家も。「え!」と思われるかもしれませんが、国際機関がスフィア基準に基づいて難民キャンプを設営していると。つまり、スフィア基準を念頭に入れて難民キャンプが作られている以上は、さほど格差が生じないとのこと。仮に海外の避難所が日本の様な雑魚寝スタイルならば暴動が起こるだろうと指摘する専門家も。ただ、海外のスフィア基準は主に戦争、紛争難民をイメージされている。日本の場合は主に災害対時に避難所が設営される。治安も諸外国と比較すればいい。そこで避難所ガチャを作らないためにも「日本版スフィア基準」を作るべき。そして、各自治体が様々なアイテムを平時から用意をしておくこと。近くで災害が起これば、周辺の自治体が必要なアイテムを持って駆けつける。災害大国日本はそうやって助け合いながら、国難と立ち向かっていくべきだと。被災自治体による避難所の運営には限界がある。被災自治体の職員とて被災者。また、忙殺され疲弊していく。「日本版スフィア基準」の策定は急務であると強く強く訴えていきたい。 これらを踏まえて質問する。 災害時の避難所設営に際し、現在の日本において、野口氏の提唱するような基準があれば教えていただきたい。また、それに該当する基準がないのであれば、野口氏が提唱するような「日本版スフィア基準」創設を検討してみてはと考えるが、政府見解如何。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |