質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第三四号

国民負担率の算出目的に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年二月十六日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   国民負担率の算出目的に関する質問主意書

 「国民負担率」という用語は日本独自に用いられた概念であり、財務省ウェブサイトによると、「「国民負担率」は租税負担及び社会保障負担を合わせた義務的な公的負担の国民所得に対する比率で表されます。」と説明されている。他方、海外では国民所得(NI)ではなく国内総生産(GDP)比でみた租税や社会保障負担の指標を用いることが一般的であるため、財務省のウェブサイトでは国民所得(NI)比で算出された国民負担率と、国内総生産(GDP)比で算出された国民負担率が掲載されている。国民負担率の分母として用いられる国民所得(NI)は、国内総生産(GDP)を元にして、海外での日本人の所得を加える、国内の日本人以外の所得を除く、設備などの減価償却等を除く、消費税等の間接税を除く、補助金等を加える等の調整を行い算出されている。国民所得を用いて国民負担率を算出する根拠について、平成二十年三月二十七日の参院財政金融委員会において、政府は「国民負担率につきましては、これは政府の大きさとか国民負担の大きさを測るための一つの便宜的な手法でございまして、分母に何を使うかということにつきましては必ずしもこれまで明確な決まりがあるわけではないというふうに理解をしております。そういった中におきまして、我が国におきましては、従来、所得との対比で負担が議論されてきたという経緯がありまして、また実感としても、収入のうちのどの程度の割合が税金や社会保険料として徴収されるかといった指標として負担の大きさを議論した方が国民にとっても分かりやすいということがありまして、国民負担率のベースとして国民所得を用いているところでありまして、あくまでも便宜的なものと、また実感を踏まえたものということでございます。」と答弁している(以下「政府答弁」という。)。これらを踏まえて、以下質問する。

一 国民負担率を算出する目的について、現在の政府においても政府答弁と変わりないか。異なっている場合、現在の政府における国民負担率の算出目的を示されたい。

二 概ね二兆円から三兆円規模という巨額を徴収している再生可能エネルギー発電促進賦課金や、こども・子育て拠出金等の、租税負担及び社会保障負担に定義上含まれないが法令で国民に支払いが義務付けられているものの存在があることに注目したい。前記一について、政府答弁と変わりない場合、所得との対比で議論をするために国民負担率を用いるのであれば、このような租税負担及び社会保障負担に定義上含まれないが法令で国民に支払いが義務付けられているものも全て国民負担率の分子に入れるべきではないか。

三 国民所得に含まれない間接税は令和四年実績見込みにおいて、国税及び地方税の総額で三十九兆二千五百十四億円である。国民所得比の国民負担率の場合、分子に間接税が入り、分母に間接税が入らないが、これは一般的な比率の算出式としての適切性に問題があると考えるが、政府見解如何。

四 国民所得は間接税が含まれない一方で、所得税等の直接税は含まれる。これにより、国民負担率の分母に含まれる税と含まれない税がある事は国民負担率の算出式として適切ではないとの指摘があるが、政府見解如何。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。