質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第二七号

岸田内閣が掲げる少子化対策におけるEBPMが明確ではない可能性等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年二月八日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   岸田内閣が掲げる少子化対策におけるEBPMが明確ではない可能性等に関する質問主意書

 少子化が進む我が国において、政府は一九九四年に総合的な少子化対策となる「エンゼルプラン」を策定して以降、様々な少子化対策を講じている。現在の岸田内閣の主要政策の一つには「こども・子育て政策」が掲げられ、首相官邸のウェブサイトには「二〇三〇年代に入るまでの六~七年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスです。」との記載があり、少子化対策が重要な政策の一つであることが窺える。

 他方、政府においては、政策の有効性を高め、国民の行政への信頼確保に資する事を目的としてEBPMを推進しており、内閣官房行政改革推進本部事務局が発出しているEBPMガイドブックでは、ダイナミックなEBPM基本概念として政策目的とロジックの明確化(ロジックモデル)と並行して、データ等のエビデンスの収集、効果検証の設計(リサーチデザイン)を行うことが重要であるとされている。

 よって当然ながら少子化対策におけるEBPMの推進は極めて重要であり、特に政府の少子化対策に関する各政策の因果効果については国民への深い理解を求めるために広く周知されるべきである。これらを踏まえて、以下質問する。

一 岸田内閣において、合計特殊出生率を引き上げることは重要であると考えるか、理由と併せて見解を示されたい。

二 先日、私の事務所からこども家庭庁へ以下の質問をした。

○こども家庭庁が所管する政策のうち、合計特殊出生率と因果関係のある政策はあるか。ある場合は、当該政策名全て示されたい。

○上記について、合計特殊出生率と因果関係がある政策それぞれについて、因果分析はされているか。また因果関係を示す統計資料があるか。ある場合は当該政策ごとに当該統計資料を全て示されたい。

 この質問に対するこども家庭庁からの回答は以下の旨であった。

○こども家庭庁の政策、事業と直接因果関係のある指標は一つもなく、当然に合計特殊出生率との因果関係はない。

○こども家庭庁において、合計特殊出生率と個別施策の因果関係を示す資料については持ち合わせていない。

 上記、私の事務所とこども家庭庁のやりとりに関して、補足点や修正点があれば示されたい。

三 こども家庭庁以外の省庁が所管する政策のうち、合計特殊出生率と因果関係のある政策はあるか。ある場合は、当該政策名全て示されたい。

四 前記三について、合計特殊出生率と因果関係がある政策それぞれについて、因果分析はされているか。また因果関係を示す統計資料があるか。ある場合は当該政策ごとに当該統計資料を全て示されたい。

五 二〇一五年に政府が公式に掲げた出生率目標として「希望出生率一・八」があると承知している。政府が目標を掲げて数年が経過した現在におけるこの目標達成度に関する政府見解を伺う。

六 こども家庭庁においては、EBPMという概念が定着していないのではないか、と私は懸念している。そして、このような状況が改善されないのであれば、こども家庭庁を廃止すべきと考えている。こども家庭庁が今後EBPMを常に意識して仕事を進めるよう、加藤鮎子こども政策担当大臣が責任をもってこども家庭庁を引っ張っていくべきと考えるが、政府見解如何。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。