質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第二四号

世界各国の腐敗度ランキングで百八十カ国・地域中百四位のウクライナに対して、「日・ウクライナ経済復興推進会議」を開催することの妥当性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年二月七日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   世界各国の腐敗度ランキングで百八十カ国・地域中百四位のウクライナに対して、「日・ウクライナ経済復興推進会議」を開催することの妥当性に関する質問主意書

 二月十九日に東京で開催予定の「日・ウクライナ経済復興推進会議」について質問する。

 一月三十日、総理大臣官邸において「ウクライナ経済復興推進準備会議」の第四回会合が開催された。会議冒頭で岸田総理は次のような旨を述べている。

○「日・ウクライナ経済復興推進会議」は、日本の貢献を、改めて、国際社会に力強く示す重要な機会であること。

○日本の戦後復興、震災復興の経験や、日本企業の技術・知見へのウクライナ側の期待は大きいこと。

○大企業はもちろんのこと、中小企業やスタートアップ企業も、官民が一体となり、オールジャパンで支援していくことが重要であること。

○一つでも多くの具体的な成果を挙げるべく、民間企業、団体などと協力して全力で準備してほしいこと。

 同会議の趣旨については賛同するところはあるものの、懸念点が大いにあると言わざるを得ない。

 公共部門の汚職を調査する非政府組織(NGO)、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)は一月三十日、二〇二三年の世界各国の腐敗度ランキングの調査を発表した。それによると、早期の欧州連合(EU)加盟に向けて汚職対策を急ぐウクライナは百八十カ国・地域中百四位で、前年の百十六位からわずかな改善にとどまったとのことである。

 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員の渡瀬裕哉氏は一月二十五日にSNS上で次のように述べている。

「ウクライナ復興会議、日本で開催するわけだが、自分はこの会議には良い印象を持っていない。ウクライナの汚職ランキングはまるで改善されておらず、まして強力な軍事大国と現在進行形で戦争状態にある。つまり、ビジネスの生殺与奪権が日本側に全く存在していない。パクられたり、被害が拡大したら、全部終わり。日本政府が数千億円を新たに突っ込むスキームを良いと判断することは無謀だろう。年初から震災に見舞われた日本本国を横目に、日本人の限られた税財源をウクライナに投入することには賛同できない。投資判断として普通に間違っており、この会議を日本で開催すること自体がタカリの構造に巻き込まれていて失敗だと思う。」

 同氏の主張は非常に重要と考える。

 また、二〇二三年二月八日の東京新聞社説にはウクライナにおける政権腐敗の具体例として次のような指摘がなされている。

○市場価格よりはるかに高い価格で兵士向けの食材が調達されていた疑惑が発覚して国防次官が更迭され、レズニコフ国防相の監督責任が問われる事態となったこと。

○発電機購入価格を水増しして賄賂を受け取っていた事件では、地域・領土・インフラ発展省の次官が拘束・解任されたこと。

○副検事総長は新年の休暇にベンツに乗ってスペインまで旅行したことが発覚し更迭され、しかも、ベンツは脱税疑惑が取りざたされる実業家の所有車だったこと。

○大統領府副長官は民間人の避難のために米国から供与されたスポーツ用多目的車(SUV)を、私物化していたと報じられ更迭されたこと。

 これらを踏まえて、以下質問する。

一 ウクライナにおける政権腐敗が懸念される状況に関する政府見解を伺う。

二 日本がウクライナを支援しても、その支援物資が横流しされたり、援助資金が腐敗高官の私腹を肥やすこと等につながる可能性は十分考えられる。

 二月十九日に開催予定の日・ウクライナ経済復興推進会議において、ウクライナにおける政権腐敗が懸念される状況であることを日本政府がウクライナ政府に伝える予定はあるか否か、伺う。

三 政権腐敗が著しいと思われるウクライナへの支援について、その政権腐敗をウクライナ側がいかに改善したかによって今後の日本による支援の是非を判断することも重要であると考えるが、このことに関する見解を伺う。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。