質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第一三号

台湾政府の内政部より処分を受けた人物の在留及び帰化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年二月一日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   台湾政府の内政部より処分を受けた人物の在留及び帰化に関する質問主意書

 台湾・内政部移民署は中国籍の王志安氏について、台湾の大陸地区人民来台従事観光活動許可弁法第十六条に基づいて、入国の許可を取り消し、五年間の台湾観光許可を禁止する決定を下したことを発表した。王志安氏は海外に滞在している中国本土の人物として、移民署に対して観光目的での一年以上の出入国証明書の申請を行い、その証明書をもって台湾に入国していた。台湾では、中国本土の人物が台湾に入国する際には、許可された目的に合致する活動しか行ってはならず、王志安氏は許可を受けて台湾に観光に訪れた期間に、招待されて番組に参加し発言を行ったことが関連規定に違反しているとされた。また、その際発言した内容についても障碍者の方を揶揄するものであり、あろうことか身体障碍者の方の真似をして笑いをとっており、明らかな障碍者差別に対して、台湾では悲しみと憤りの声に溢れている。その後、王志安氏はX(旧Twitter)において、このような台湾・内政部の措置を受けて、台湾に入国できなくなるなら受け入れるが、日本国籍に変更するつもりであり、その場合は入国させることに躊躇するのかという旨の反省どころか台湾を挑発し、日本国に帰化する意思まで表明したところであり、この発言も物議を醸している。その後、神戸市会議員の上畠寛弘議員も王志安氏を批判し、この批判も含めて、台湾では台湾の国家通信社である中央通訊社をはじめ、自由時報、民間全民電子公司などメディアが報道し、日本政府に対して王志安氏の帰化をさせないで欲しいとの声が上がっている。日本政府には法務省や外務省、警察庁を筆頭に当該情報の把握と収集を要請する。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 日本は台湾とは国交を有さないが、実務的な交流は、外務省職員も出向する公益財団法人日本台湾交流協会が担っており、公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会間には、現在も有効な出入境管理分野における情報の交換と協力に関する覚書を締結しているところであるが、法務省は当該覚書の存在、内容を把握しているか。当該覚書を円滑に履行するべく、法務省は必要な協力を行うべきであると考えるがこれまでも必要な協力は行ってきたのか。今後の覚書履行の為に日本政府はどのように対応をするのか。また、これまでに公益財団法人日本台湾交流協会に対して、法務省職員は出向した実績はあるか。あわせてお答えされたい。

二 王志安氏は台湾における法律によって在留の許可を取り消され、五年間の観光目的での入境が禁止されたが、台湾の報道によれば、現在、日本に入国しているとのことである。これは台湾における例だけでなく他国においてもあり得る事例であり、個別具体的な答弁は困難にせよ、外国人が他国に滞在中において他国の法律や規定に違反し入国許可が取り消されるといった事案を把握した場合には、その事案を参考にして日本における在留許可や帰化についても日本政府が慎重に判断することは、必要であると考えるが政府の見解は如何か。あわせて、日本社会への悪影響を及ぼす恐れがある外国人の在留許可や帰化は排除することは、必要であると考えるが政府の見解は如何か。

三 日本と台湾の間に国交関係は有していないが、台湾は我が国とって大切なパートナーであり、台湾は国家三要件を備えており、両国の国民の往来は盛んである。公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会の間の窓口を通じて法務省が所管する出入国管理や帰化に関する分野においても台湾・内政部をはじめとした諸機関との連携を強化すべきであると考えるが政府の見解は如何か。

四 法理上、帰化をした者について本人の意思に反して日本国籍をはく奪することは可能であるのか。可能でないのであれば、外国人の帰化については慎重に行うべきであると考えるが政府の見解は如何か。

五 特別永住許可や永住許可をはじめ在留許可を受けた外国人が犯罪を犯した場合には、いずれの在留資格であるにせよ許可を取り消すべきであると考えるが政府の見解は如何か。現在の制度上、特別永住許可や永住許可が取り消されることはどのようなケースの場合があるのか。これまで特別永住許可や永住許可が取り消された例があるのか。あわせてお答えされたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。