質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一四〇号
  令和五年十二月二十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出財政法、財政民主主義等の財政原則に基づいた予算編成を求めることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出財政法、財政民主主義等の財政原則に基づいた予算編成を求めることに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「基金の改革」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、基金事業については、令和五年度補正予算を編成する以前から、行政事業レビューの枠組みの下で、厳格な点検に不断に取り組んでおり、同補正予算においても、その取組を反映している。

 なお、御指摘の「令和五年十一月に実施された行政事業レビュー」における指摘に基づき、デジタル行財政改革会議及び行政改革推進会議において検討を行い、「基金の点検・見直しの横断的な方針」(令和五年十二月二十日行政改革推進会議決定)を決定したところである。

二について

 御指摘の「財政規律回復の道筋を示すべき」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和五年度補正予算における予備費の使途変更については、令和五年十一月十七日の衆議院内閣委員会において、前田財務省主計局次長が「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の使途につきまして、新型コロナウイルス感染症の五類への移行あるいは足下の本予備費の使用状況などを踏まえまして、重点化、明確化を図ることとしたいと考えてございます。具体的には、令和五年度当初予算に計上いたしましたコロナ、物価予備費につきまして、コロナ禍から平時への移行等を受けまして、本予備費の目的からコロナ対策を外し、重点化、そして、物価高に賃金上昇が追いつかない中で、物価と賃金の好循環に向けました足下の賃上げ促進の環境整備のために必要な経費につきまして、予期せぬ不足が生じた場合にも物価高騰対策として機動的に対応できることを明確化することとしてございます。この使途の重点化、明確化でございますけれども、これも来週国会に御提出する予定でございます令和五年度補正予算案におきまして、これは予算総則の補正を予定をしてございますことから、これは妥当なものであろうと考えてございます。なお、当然のことながら、この予算総則の補正を含めまして、補正予算案につきましては、今後国会で御審議をいただく、御審議をお願いするということになってございます。」と答弁しているとおりであり、同補正予算について国会の議決を経たところであるため、御指摘のように「財政民主主義の趣旨を没却する」ものではないと考えている。

 いずれにせよ、予備費については、御指摘の「令和四年度決算検査報告」において示された所見も踏まえ、憲法及び財政法(昭和二十二年法律第三十四号)の規定に従って、今後とも適正な使用等に努めてまいりたい。

三について

 補正予算については、財政法第二十九条において、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」及び「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」に限って「補正予算を作成し、これを国会に提出することができる」とされている。御指摘の「令和二年度以降」の補正予算については、いずれも同条の要件を満たすものであると考えており、令和五年度補正予算についても、足下で消費と投資が力強さに欠ける状況にあること等を踏まえて、令和五年十一月二日に「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定した上で、同対策に従って速やかに実行すべき施策等に必要な予算を計上したものである。今後とも、同法の規定に従って、適切に対応してまいりたい。