第212回国会(臨時会)
内閣参質二一二第一三八号 令和五年十二月二十六日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員牧山ひろえ君提出物価高に対応する基本方針に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員牧山ひろえ君提出物価高に対応する基本方針に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねについては、令和五年十月二十七日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「経済のデフレからの脱却、千載一遇のチャンスを今物にしなければならないということで、国民生活をしっかり支えていこうとしているわけですが、それに当たって、ここ二年間、国民の皆さんの協力もあって、税収は伸びてきました。この税収の伸びの中で、個人の国民の皆さんからいただいた所得税、住民税、この部分については、この二年間で三兆円を超える、こうした増収が示されています。この部分は、是非国民の皆さんに、今、物価高の中で頑張っていただくために、分かりやすく所得税、住民税という形でお返しする、これが国民生活を支える上で重要だということを考えました。そして、ただ、所得税、住民税を支払っておられない方、より厳しい状況の中で苦しんでおられる方に対しては、所得税でお返しするということができないわけですし、そして、より厳しいわけですから、スピード感を持って支援をしなければいけない、この部分については給付という形で支援をさせていただく」と答弁したとおりである。 二について 「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和五年十一月二日閣議決定)においては、「国民の消費や投資動向は力強さに欠ける状況にあり、まずは、足元の物価高から国民生活・事業活動を守る対策に万全を期す。これにより、国民の所得を下支えし、新たなステージへの移行に向けた動きを後戻りさせない。」としており、さらに、「収益を継続的に生み出し、成長と分配が持続的に回っていく、物価上昇を十分に超える持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す。」こととしている。 その上で、お尋ねについては、令和五年十二月十三日の記者会見において、岸田内閣総理大臣が「構造的な賃上げを伴う経済成長、そして物価安定目標の持続的、安定的な実現、こうしたことを目指していくのだということについては、政府、日銀は一致していると、共にその目的に向けて努力していく立場にあると考えます。金融政策については、具体的な政策、これは日銀に委ねなければならないと思いますが、日銀には引き続き、政府の様々な政策、デフレ完全脱却、あるいは賃上げ、そして成長と分配の好循環、持続的な賃上げがリードする形でコストカット型経済からの脱却、こうした経済政策をしっかり念頭に置いていただきながら、政府と連携をしていただきたいと期待しております。」と述べているところ、日本銀行においても、「当面の金融政策運営について」(令和五年十二月十九日公表)において、「日本銀行は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、二パーセントの「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく。」としており、御指摘の「物価高対策を講じる財政政策」と「金融緩和を続ける金融政策」とは、整合的であると考えている。 |