質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一二九号
  令和五年十二月二十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出労働法保護の潜脱対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出労働法保護の潜脱対策に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の「「名ばかり管理職」の問題」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねが、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号。以下「法」という。)第四十一条第二号に規定する監督又は管理の地位にある者(以下「管理監督者」という。)に実態として該当しない労働者について法第三十七条第一項に規定する割増賃金の不払等の法違反が認められ、当該違反に対する是正勧告又は指導(以下「指導等」という。)を行った件数についての御質問であるとすれば、当該件数とそれ以外の指導等の件数を区分して集計していないことから、お答えすることは困難である。

一の2について

 お尋ねの「より具体的に、どのようなポイントに着目して管理監督者性が判断されることになるのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、管理監督者に該当するか否かの判断に当たっては、例えば、「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」(平成二十年九月九日付け基発第〇九〇九〇〇一号厚生労働省労働基準局長通達)において、「職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇を踏まえ、総合的に判断することとなる」との考え方を示しているところであり、こうした考え方の下、実態に即して判断されるものである。

二について

 労働基準監督署においては、御指摘のような「問合せがあった場合」など、個別の事案に応じ、法第九条に規定する労働者に該当するか否かを判断し、これに該当する場合には、事業主に対して、労働基準関係法令の遵守について適切に指導等を行っているところである。

 また、労働保険及び社会保険の適用促進については、令和四年十二月十六日に全世代型社会保障構築会議が取りまとめた「全世代型社会保障構築会議報告書~全世代で支え合い、人口減少・超高齢社会の課題を克服する~」を踏まえ、令和五年四月一日から、「被用者保険の更なる適用促進に向けた労働行政及び社会保険行政の連携について」(令和五年三月三十一日付け基発〇三三一第五十二号・年管発〇三三一第五号厚生労働省労働基準局長及び大臣官房年金管理審議官連名通知)により、「労働基準監督署・・・において労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)上の労働者であると判断した事案について、日本年金機構年金事務所・・・に情報提供し、被用者保険の更なる適用促進を図ることとする。また、当該情報については、労働保険料の適正徴収の観点から、都道府県労働局・・・労働保険適用徴収部門・・・にも提供すること」としており、政府としては、今後とも、この仕組みを活用して、労働保険及び社会保険の適用促進を図ってまいりたい。