質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一一七号
  令和五年十二月二十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出日本における脱炭素エネルギー戦略に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出日本における脱炭素エネルギー戦略に関する質問に対する答弁書

一について

 前段のお尋ねについては、「地球温暖化対策計画」(令和三年十月二十二日閣議決定)における「地球温暖化対策は経済成長の制約ではなく、積極的に地球温暖化対策を行うことで、産業構造や経済社会の変革をもたらし大きな成長につなげるという考えの下」、「二千三十年度において、温室効果ガスを二千十三年度から四十六パーセント削減することを目指す。さらに、五十パーセントの高みに向け、挑戦を続けていく」という我が国の温室効果ガスの削減目標の達成に向けて、引き続き、取組を進めていく考えである。

 後段のお尋ねについては、お尋ねの「実現性のあるものに見直していくこと」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、パリ協定(平成二十八年条約第十六号)の目的の達成に向けた国際交渉に臨むに当たっては、政府として、引き続き、気候変動に関する国際連合枠組条約(平成六年条約第六号)の締約国とともに、同協定の効果的な実施を促進するために必要な決定が行われるよう最大限努力してまいりたい。

二について

 御指摘の「宣言」については、御指摘の「数値」の「達成」のために必要となる世界全体での原子力発電所の数を想定したものではないため、お尋ねにお答えすることは困難である。

三について

 お尋ねの「技術開発」については、「エネルギー基本計画」(令和三年十月二十二日閣議決定)において、「脱炭素化を見据えつつ、次世代の高効率石炭火力発電技術である石炭ガス化複合発電(IGCC)や石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)などの技術開発等を推進する」としているとおりである。

 お尋ねの「稼働」については、政府として、現時点では、御指摘の「石炭ガス化複合発電」を用いた発電所の新たな建設に係る具体的な計画は承知していないが、今後については、これまでに営業運転が開始された発電所の稼働を含め、まずは、発電事業者において検討されていくものであると考えている。

四について

 御指摘の「二国間クレジット制度」に基づくプロジェクトについては、パリ協定第六条の規定に基づくものであり、当該プロジェクトによって得られる温室効果ガスの排出削減量のうち我が国に配分される量については、政府として、御指摘の「我が国のNDC」の達成に向けた温室効果ガスの排出削減量の算定に適切に反映することとしている。

 また、アジア・ゼロエミッション共同体の枠組みを通じたものであるか否かにかかわらず、当該プロジェクトにおいてどのような御指摘の「脱炭素型技術」が導入されるのかについては、当該プロジェクトに関与する相手国との協議によって個別に決定されるものであり、また、当該プロジェクトによって得られる温室効果ガスの排出削減量の取扱いについては、当該相手国とプロジェクトごとに協議の上で、国際的に検証可能な形で当該排出削減量が我が国と当該相手国に適正に配分されることとされている。このため、当該算定に当たっては、政府として、御指摘の「石炭ガス化複合発電」の技術に由来するものであるか否かにかかわらず、技術ごとの温室効果ガスの排出削減量の計算を当該算定の前提とはしていない。

五について

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和五年法律第三十二号)第三条において、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行は、エネルギーの需給等に関する施策等との整合性等を踏まえつつ行われなければならないと規定されているところ、御指摘の「投資計画」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「GX経済移行債」を活用した支援策(以下「支援策」という。)についても、政府として、御指摘の「将来のエネルギーミックス」を含め、エネルギーの需給等に関する施策等との整合性を踏まえたものとしていく考えである。

 お尋ねの「当初想定していたようなパフォーマンスを実現し続けられる」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、支援策が我が国における当該移行に継続的に資するものとなるよう、支援策の対象となる個々の事業の段階、当該事業に伴うリスク、当該事業に関連する市場や製品の性質、支援策の対象となる企業における資金調達の手法等に応じ、補助、出資、債務保証などを適切に組み合わせて支援策を講ずるとともに、支援策の効果の測定や評価を踏まえ、その使途の見直しを柔軟に実施していく考えである。