質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一一一号
  令和五年十二月二十二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員辻元清美君提出修学旅行等における大阪・関西万博の活用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻元清美君提出修学旅行等における大阪・関西万博の活用に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねのとおりである。

二の1について

 令和七年に開催される国際博覧会(以下「博覧会」という。)の来場者の目的や関心事項は個人によって様々であり、博覧会の見学ルートや見学に要する時間も個人によって異なるものであることから、お尋ねのように「一日では回れない」とは考えていない。なお、令和七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律(平成三十一年法律第十八号)第十四条第一項の規定に基づき経済産業大臣が博覧会協会として指定した公益社団法人二〇二五年日本国際博覧会協会(以下「博覧会協会」という。)において、来場者が限られた時間の中で効率的に見学ができるよう、事前に来場日時を指定し、展示館やイベント等を予約することができるシステムを導入することを予定しているものと承知している。

二の2について

 こども(こども基本法(令和四年法律第七十七号)第二条第一項に規定するこどもをいう。以下同じ。)が博覧会に来場した結果、何を学び、それぞれの将来について何を考えるのかについては、来場の回数にかかわらず、それぞれのこどもの興味関心等によって異なることから、お尋ねのように「一回や一日の入場では十分に「子どもたちが将来のビジョンを描」けない」とは考えていない。

二の3について

 政府としては、一人でも多くのこどもに博覧会に来場していただきたいと考えているが、修学旅行等において博覧会に来場したこどもが、何を学びたいかやどれだけ学びを得られるかについては、それぞれのこどもにより異なることから、お尋ねのように「来場は複数回が不可欠」とは考えていない。

三について

 お尋ねについて、政府としては、修学旅行の行き先や行程等については、学習指導要領及びその解説に沿って、地域や学校の実態及び児童生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して、各学校において決定するものであり、修学旅行において博覧会にどれだけの時間を充てるのかについても、各学校の判断に委ねられているものと考えている。

四の1について

 お尋ねについては、必ずしも網羅的に把握しているわけではないが、令和五年に、文部科学省が御指摘の「修学旅行等の行き先」について、通知の送付又は会議における資料の配布により、都道府県教育委員会等に対して、博覧会以外の御指摘の「特定の地域・施設・イベントに関する情報提供」を行った①件数及び②内容を「行き先」別に示すと、次のとおりである。

 ①十二件 ②国立アイヌ民族博物館を含むアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(平成三十一年法律第十六号)第二条第三項に規定する民族共生象徴空間について

 ①十二件 ②風評に惑わされることのない現地の正確な情報に基づく福島県への修学旅行等の実施について

 ①十二件 ②国立青少年教育施設について

 ①三件 ②北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律(昭和五十七年法律第八十五号)第二条第二項に規定する北方領土隣接地域への修学旅行等の実施について

 ①二件 ②領土・主権展示館について

 ①二件 ②昭和館及びしょうけい館について

 ①二件 ②平和祈念展示資料館について

四の2について

 政府としては、こどもが博覧会に来場することは、御指摘の「校外の豊かな自然や文化に触れる体験」として意義があると考えているが、博覧会以外の全国における御指摘の「豊かな自然や貴重な文化財」についてもそれぞれの特長を有しており、それらの特長を踏まえて、各学校において修学旅行等の行き先等を決定するものであると考えている。

五の1について

 お尋ねの「政府目標にある「全国百二十万人の子どもたち」の学校種別、都道府県別の内訳」は設定していない。

五の2について

 御指摘の数値を単純に計算すれば、お尋ねのとおりであるが、御指摘の「大阪府による無料招待により、府内の小中高生約八十八万人が大阪・関西万博を校外学習活動等として訪問する見込み」が確かであるかどうかについては承知していない。

五の3について

 お尋ねについては、網羅的に把握しておらず、お答えすることは困難である。

六の1及び2について

 お尋ねについては、政府としては、御指摘の「土壌汚染対策」及び「特定有害物質の飛散等を防止するための措置」が必要であると考えており、博覧会の会場となる区域に係る土壌汚染対策については、土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)に基づき、博覧会の会場内で土地の形質の変更をしようとする者等において、特定有害物質の飛散等を防止するために必要な措置が適切に講じられるものと認識している。

六の3について

 お尋ねについては、博覧会の会場となる区域の一部において、御指摘の「メタンガス」が発生していることは承知している。このため、平成二十六年に大阪市等が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の規定に基づき設立した大阪広域環境施設組合が、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令(昭和五十二年総理府・厚生省令第一号)第一条第二項第十六号の規定に基づき、通気のための装置を設置し、当該区域の一部において、御指摘の「メタンガス」が滞留しないよう、御指摘の「大気放散」を行うことで、当該メタンガスの濃度を適切に管理しているものと承知している。

六の4について

 お尋ねについては、政府としては、大阪市が御指摘の「輸送用大型バスの駐車場」の予定地の一部において、ポリ塩化ビフェニルを含む底質の暫定除去基準値である十ピーピーエムを超える浚渫(しゅんせつ)土砂を袋詰めして封じ込めた上で、埋立てを行っていると承知している。

六の5及び6について

 御指摘の「保護者から子どもたちの身体への影響を懸念する声」については、政府として把握しておらず、博覧会の会場である夢洲については、関係法令にのっとり、必要な対策が講じられるものと認識していることから、現時点では、御指摘の「子どもたちの身体への影響」はないものと考えており、御指摘の「全国の都道府県教育委員会等に対して、右記1~4に関連し、身体への影響はない等の旨を周知」することは考えていない。

六の7について

 前段のお尋ねについては、博覧会協会において、二〇二五年日本国際博覧会安全対策協議会を設置し、入場者の安全を確保するための検討を進めているものと承知している。政府においても、国際博覧会推進本部の下に設置した、関係府省庁、大阪府及び大阪市並びに博覧会協会が参画する博覧会のテロ対策及び防災対策について論議する分科会において、博覧会協会における検討も踏まえ、入場者の安全を確保するための検討を進めていくこととしている。

 後段のお尋ねについては、現時点では、御指摘の「全国の都道府県教育委員会等に対して、修学旅行等による大阪・関西万博の訪問について安全上の問題はない旨を周知」する予定はないが、博覧会の来場者が安心して博覧会を楽しむことができるよう、必要な情報発信に努めてまいりたい。