質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第七五号
  令和五年十二月十二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員石垣のりこ君提出指定薬物の包括指定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出指定薬物の包括指定に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会(以下「指定薬物部会」という。)においては、御指摘の「未規制物質」のうち、国内又は海外で流通しており、その有害性等が確認されたものについて、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項に規定する指定薬物として指定することの可否について議論することとしているが、令和四年三月四日の指定薬物部会の開催の時点においては、御指摘の「HHCに化学構造が類似しているHHCH、HHCP」については、国内又は海外で流通し、その有害性等が確認されたものではなかったことから、御指摘の「HHC」についてのみ議論され、「指定薬物として指定することが適当である」とされたものである。

二について

 御指摘の「THCと化学構造が近いとされる物質」については、「規制対象でなかった物質が新たに指定されると規制を逃れるために化学構造の一部を改変した未規制物質が出回るという、取り締まる側と製造・販売する側で「いたちごっこ」の状況となっている」といった御指摘があることを踏まえ、それらに関して収集した情報や、流通実態、物質の有害性等を勘案して、今後、指定薬物部会において、それらを御指摘の「包括指定」することの可否について議論を行い、当該議論を踏まえ、適切に対応してまいりたい。

三について

 御指摘の「医療機関等から未規制物質等による健康被害の情報を収集する仕組み」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いわゆる「危険ドラッグ」については、厚生労働省において、令和五年八月に、都道府県に対し、その販売店舗に関する情報や、医療機関等から収集した「危険ドラッグ」の摂取により健康被害を受けたことが疑われる事例について定期的な報告を依頼しており、また、警察庁においても、同年十月に、全国の都道府県警察に対し、各種警察活動を通じて把握した「危険ドラッグ」の摂取に起因することが疑われる死亡事案や交通事故等の定期的な報告を指示し、両省庁においてこれらを通じて得られた情報を相互に共有することで、御指摘の「迅速に指定薬物に指定」することの検討も進められるようにしており、政府としては、引き続き、この仕組みを適切に運用してまいりたい。