質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第四七号
  令和五年十一月二十四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員石垣のりこ君提出介護職員等の賃金引上げ額が最低賃金の引上げ額にも届いていないことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出介護職員等の賃金引上げ額が最低賃金の引上げ額にも届いていないことに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「今回の補正予算における介護職員等の賃金引上げ額」については、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和五年十一月二日閣議決定)において、「医療・介護・障害福祉分野においては、二千二十四年度の医療・介護・障害福祉サービス等報酬の同時改定での対応を見据えつつ、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずる」とされており、これを踏まえ、御指摘の「現下の物価上昇」への対応や、「最低賃金の引上げ」が行われている状況の中での労使交渉の結果について日本労働組合総連合会が集計し、公表している「二千二十三春季生活闘争第七回(最終)回答集計結果」における全産業平均の賃上げに対し、介護業界の賃上げが相対的に低い状況であったことへの対応として、介護職員を対象に、介護職員一人当たりの収入の二パーセント程度に相当する賃上げとして、月額平均六千円相当引き上げるための措置を講ずることとしたものである。

二について

 御指摘の「三年ごとの介護報酬の改定を待たずに物価や賃金の上昇に合わせて適時に介護職員等の賃金が引き上がる仕組み」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、介護報酬については、原則として三年に一度改定を行っているところであるが、御指摘の「適時」の「物価や賃金の上昇」への対応としては、重点支援地方交付金による支援を行い、また、一についてでお答えした措置を講ずることとしているところであり、引き続き、適切に対応してまいりたい。

三について

 御指摘の「介護報酬における既存の介護職員処遇改善加算等の加算」については、平成二十九年三月三十一日の衆議院厚生労働委員会において、馬場厚生労働大臣政務官(当時)が「本体報酬の引き上げは、必ずしも全て介護職員の賃金に、引き上げに充てられるわけではありませんが、処遇改善加算は、加算の形にすることで、その算定額を賃金引き上げに充てることを担保しているものであり、処遇改善加算の実施によって介護職員の着実な処遇改善に努めていくという趣旨でございます」と述べているとおり、介護職員の処遇改善に重要なものであると考えている。その上で、令和六年度介護報酬改定については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二三」(令和五年六月十六日閣議決定)において、「次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」とされており、これを踏まえ、必要な対応を行ってまいりたい。