質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第三七号
  令和五年十一月十四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員小西洋之君提出憲法改正に関する岸田総理の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出憲法改正に関する岸田総理の認識に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 お尋ねの「不都合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、令和五年一月二十七日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「時代の転換点にあって、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかどうか、憲法を通じて我が国の有様や世界の中での位置付けを考えることは大変重要であると考えております。このような思いから、憲法改正は先送りできない課題であると申し上げました。」と答弁しているところであり、「岸田総理の所信表明演説は憲法改正の実施そのものを政治的な目的とする、いわゆる改憲ありきの暴論ではないか」との御指摘は当たらないものと考えている。

四及び五について

 お尋ねの「なぜ「国会の発議に向けた手続きを進める」必要があると考えているのか」については、その趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の所信表明演説における憲法改正に関する発言は、憲法改正の手続を踏まえて述べたものである。また、お尋ねの「「条文案の具体化など」の「など」はどのような事項を意味しているのか」及び「「条文案の具体化」という文言を用いた理由」については、令和五年十月二十五日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「憲法改正の議論の進め方等については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣の立場から直接申し上げることは控えますが、いずれにせよ、国会の発議に向けた手続を進めるためには条文案の具体化が必要であり、議論を期待することの一例としてこれを述べることについても三権分立の趣旨に反するものではないと考えております。」と答弁しているとおりであるが、お尋ねの「憲法改正の「条文案の具体化」などを総理が訴えた例」については、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

六について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではなく、また、各議院の憲法審査会における議論の内容についての評価を述べることは差し控えたいが、いずれにせよ、御指摘の所信表明演説の発言は、第二百十一回国会の各議院の憲法審査会において活発な議論が行われたとの認識の下で述べたものである。

七について

 御指摘の「憲法学者のお二人が示していること」は、有識者のそれぞれの見識の下で表明されたものであり、政府として個々の意見についての評価を述べることは差し控えたい。

八について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の所信表明演説の発言の趣旨は、一から三までについて及び四及び五についてでお答えしたとおりである。

九について

 前段のお尋ねについては、例えば、令和五年一月三十一日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「スケジュールを決めることについてどうかということですが、私の立場、内閣総理大臣の立場から憲法改正の進め方や内容について具体的に申し上げるのは控えなければならないと申し上げてきました。」と答弁しているところである。また、後段のお尋ねについては、同年十月二十五日の参議院本会議において、同内閣総理大臣が「憲法改正の議論の進め方等については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣の立場から直接申し上げることは控えますが、いずれにせよ、国会の発議に向けた手続を進めるためには条文案の具体化が必要であり、議論を期待することの一例としてこれを述べることについても三権分立の趣旨に反するものではないと考えております。」と答弁しているとおりである。

十について

 お尋ねについては、自由民主党総裁としての発言に関するものであり、お答えすることは差し控えたい。

十一について

 前段のお尋ねについては、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。また、後段のお尋ねについては、「何か特別の意味があるのか」及び「どのような問題があると考えているのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「「憲法第六十七条の規定に基づき国会議員の中から指名された」との文言」は、議院内閣制の下における内閣総理大臣の地位について述べるために用いたものである。