質問主意書

第212回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一二第一四号
  令和五年十月三十一日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員石垣のりこ君提出大阪・関西万博パビリオン建設で時間外労働の上限規制の対象外とすることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出大阪・関西万博パビリオン建設で時間外労働の上限規制の対象外とすることに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「労働基準法における災害等による臨時の必要がある場合とみなし、その従業者の時間外労働の上限規制を撤廃すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号。以下「法」という。)第三十三条第一項の規定により、災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において法第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は法第三十五条の休日に労働させることができるとされているところ、お尋ねが、御指摘の「建設工事」について、法第三十三条第一項に基づく許可の申請がなされた場合に、「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について」(令和元年六月七日付け基発〇六〇七第一号厚生労働省労働基準局長通知)の「単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと」に当たるのではないかとの趣旨であれば、同項の許可の申請があった場合には個別具体的に判断することとなるが、同項の許可がなされるのは、一般的には、災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合に限られ、単なる業務の繁忙等では認められないものと認識している。

二について

 御指摘の「国の関与する行事に関係する建設工事」及び「現行の労働基準法等の下では出来ない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、工作物の建設等の事業については、法第百三十九条第二項の規定により、令和六年三月三十一日までの間は、法第三十六条第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定による時間外労働の上限規制(以下「時間外労働の上限規制」という。)は適用しないこととされ、また、同年四月一日から、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が適用されることとなっている。

三について

 御指摘の「特定の建設工事について時間外労働の上限規制の対象外とする特別法」の意味するところが必ずしも明らかではないため、「こうした特別法を制定すること自体は可能なのか」及び「可能な場合はこのような法律が政府として必要だと考えるか」とのお尋ねについてお答えすることは困難であるが、お尋ねが法律上の措置によって工作物の建設等の事業に対し時間外労働の上限規制を適用しないこととすることが必要かとの趣旨であれば、現時点において検討を行っているものではない。