質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一四三号

教員の働く環境を改善し、教員不足を解消するための施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十二月十三日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   教員の働く環境を改善し、教員不足を解消するための施策に関する質問主意書

一 教員不足へ対応するための奨学金返還支援について

 現在の教員の多忙さについては周知のところである。教員は、日々の授業をこなしつつ、行事や式典、保護者対応を行い、さらには、GIGAスクール構想の推進として、端末が学校に配布されて以降は、端末の故障対応等にも追われている。教員は日々、本当に様々な業務をこなすことが課せられている。

 愛知県総合教育センターが令和三年度に教職課程を履修する学生を中心に行ったアンケート調査では、「教職希望を取りやめた理由」として、「休日出勤や長時間労働のイメージ」に、「とても当てはまる」「やや当てはまる」と回答した合計割合は六十六・六%、「職務に対して待遇(給与等)が十分でない」に、同じく「とても当てはまる」「やや当てはまる」と回答した合計割合は、六十四・一%であった。教員不足には様々な要因が絡んでいるが、その抜本的な解消に向けては、働く環境の改善・処遇改善による教職の魅力向上により、教職が学生に選ばれる職業となることが必要不可欠である。

 我が党は、教員に「定額働かせ放題」を強いる、いわゆる給特法の廃止・給与や勤務条件の改善を提言しているが、教員不足の応急的な対応として、文部科学省の令和六年度概算要求資料では、「教師人材確保方策として、奨学金の返還支援も検討」とされた。これについては、十月十一日に開かれた財政制度等審議会の歳出改革部会で、財務省は、日本全体が人手不足な中でなぜ教員だけ免除するのか、他の奨学金政策に回せる原資が減少するのではないか等課題が多いと指摘したと承知している。

 そもそもの教員の負担を減らし、学校のブラックなイメージを払拭することと並行して、教員養成学部に通う学生の奨学金返還支援を行うことは教員のなり手不足解消に有効である。財務省から課題が示されていても、実現すべきと考えるが、政府の見解を伺う。

二 教員が受け持つ授業時間へ上限を設定することに対する文部科学省の見解について

 教員の働く環境を抜本的に改善するためには、教員の業務を減らすことが重要である。学校現場では、中央教育審議会の答申に基づき、これまで学校・教員が担ってきた業務の仕分けを行い、教員の負担を減らすべく取組が行われていると承知しているところだが、いまだ十分に役割分担が進んでいない。

 我が党は、教員の業務負担を減らすため、教員が受け持つ授業時間に上限を設定することを提言しているところである。持ち授業時間の上限を設定することで、教員が、教育研究等本来行うべき業務に専念することができる環境を整備することを掲げている。

 盛山文部科学大臣は、本年十月六日の記者会見で、「持ちコマ数だけで教師の勤務負担を測るというのはまず難しい」「国が一律に上限を設けるのではなく、(中略)各教育委員会や学校の実態に応じて柔軟に対応すべき」と述べている。しかしながら、現実問題として、教員の多忙化の解消は喫緊の課題である。国として、一定の強制力を持って上限を課した上での定数改善を行うことが業務負担減に大きくつながると思うが、改めて政府の見解を伺う。

  右質問する。