質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一三九号

物価高に対応する具体的施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十二月十三日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   物価高に対応する具体的施策に関する質問主意書

一 トリガー条項凍結解除の必要性について

 政府は、高騰する燃料油価格への対策として、事業者に対して補助金を支給する政策を既に二年近く続けており、令和五年度補正予算でも、所要の経費として千五百三十二億円が計上されている。これにより、燃料油価格への対策に係る経費は累計で六・四兆円となった。

 このように本対策には巨額の経費が投じられているにもかかわらず、その効果を疑問視する声も多く聞かれる。例えば、十一月七日に公表された会計検査院の令和四年度決算検査報告によれば、実際の価格抑制額は補助金交付額を百一億円も下回ったとされ、燃料油価格に関する補助金が小売価格に反映されていない可能性が指摘されている。

 政府がこうした指摘を真摯に受け止めるならば、補助金に固執するのではなく、今すぐトリガー条項の凍結解除に踏み切るべきである。トリガー条項の凍結解除を実施すれば、ガソリン一リットル当たり二十五円の減税となり、確実に小売価格を引き下げることができるため、補助金よりも優れた政策であることは明らかである。

 なぜトリガー条項凍結解除を決断できないのか、政府の見解を伺う。

二 実効性を欠く賃上げ対策について

 令和五年の春闘における賃上げ率は、全産業平均で三・五八%となるなど、賃上げ機運が高まっている一方、足下では実質賃金が十八か月連続で前年を下回るなど、賃金の伸びが物価高に追いつかない状況が続いている。

 政府は、賃上げの動きを持続的なものにするため、給与等の引上げを実施した企業に対して法人税額の控除を行う賃上げ促進税制について、令和六年度税制改正において期間の延長や赤字の繰越控除制度を創設する方向で検討すると経済対策で掲げている。

 しかし、政府が進める賃上げ促進税制は、法人税が課税されない赤字法人が多い中小企業にはそもそも効果が薄いことがかねてより指摘されている。さらに、赤字の繰越控除制度も、恒常的に赤字の企業への効果はやはり限定的であり、極めて実効性の薄いものである。

 我が党は、「人への投資」による労働生産性の向上が真に効果的な賃上げ対策であると考えている。そのために、リカレント教育・リスキリング投資など「人への投資」を抜本的に拡充することを緊急経済対策において提言している。

 効果が期待できない政府の対策よりも、我が党が提案する実効的な政策をもって賃上げに取り組むべきと考えるが、政府の見解を伺う。

  右質問する。