質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一三八号

物価高に対応する基本方針に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十二月十三日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   物価高に対応する基本方針に関する質問主意書

一 物価高対策としての定額減税の是非について

 我が国では、物価の高騰が続く中、そのスピードに賃金の上昇が追い付かず、家計の厳しさは増す一方である。

 政府は、今般の経済対策において、物価高から国民生活を守るためとして、納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人につき、所得税及び住民税合わせ合計四万円の定額減税を実施することとしている。

 しかし、この定額減税は、令和六年度税制改正で検討された後、来年六月からの実施が予定されており、効果の発現に半年以上かかるなど、経済対策としての即効性を著しく欠くものである。

 これに対し我が党は、物価高を克服するための緊急経済対策を取りまとめ、真に支援を必要とする家計へ迅速な直接支援を行うことを提言している。具体的には、住民税非課税世帯の三倍水準以下の世帯と家計急変世帯といった、全世帯の約六割に当たる世帯を対象として、三万円の「インフレ手当」による直接給付を行うこととしている。

 国民生活は今まさに逼迫しているのであり、定額減税のように、法改正や煩雑な対応が求められる「税」での対応よりも、我が党が主張する「インフレ手当」のように、速やかに実施することが可能な「給付」のほうが物価高対策として優れていることは明白であると考えるが、政府の見解を伺う。

二 物価高対策と金融政策の整合性について

 世界的インフレを背景に、米欧の中央銀行は利上げを実施している一方、日本銀行は金融緩和政策を継続している。こうした金融政策の方向性の違いから金利差が拡大し、足下の為替レートは歴史的な円安ドル高水準となっている。

 この円安と既往の原材料価格高騰による輸入物価の上昇を起因として、生鮮食品を除く消費者物価指数は十八か月連続で日本銀行が掲げる物価安定目標である前年比二%を上回っている。こうした状況下で、実質賃金は十八か月連続で前年を下回るなど、物価上昇に賃金の伸びが全く追いつかず、国民生活は疲弊している。

 政府は、今般の経済対策において物価高から国民生活を守ることを第一の柱としているが、日本銀行は、円安につながる金融緩和政策を引き続き実施する意向を示しており、両者の政策は完全に矛盾したものではないか。

 物価高対策を講じる財政政策と、金融緩和を続ける金融政策との整合性について、政府の見解を伺う。

  右質問する。