第212回国会(臨時会)
質問第一三六号 介護保険料の引上げ検討に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和五年十二月十三日 牧山 ひろえ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 介護保険料の引上げ検討に関する質問主意書 来年度から、六十五歳以上の方の介護保険料について、年間の合計所得が四百十万円以上の方の負担を引き上げる検討がなされている。一方、厚労省は、低所得者の保険料の引下げも同時に検討しているとされ、これによる減収分を高所得者の負担増による増収分で賄うことを考えているようである。以下質問する。 一 こうした見直しについて、政府は、負担能力に応じて、全ての世代で公平に支え合う仕組みであるなどと、もっともらしいことを謳っている。しかし、この先の人口構成については大方明らかになっており、それを踏まえると、当面は保険料の負担が増加していくことが予想され、応能負担と言っても、自ずから限度があるのではないか。今後の介護保険料の負担について、政府は具体的にどうシミュレーションしているのか、見解を伺う。 二 また一方では、保険料の負担だけでなく、実際のサービスを受ける際の利用者負担についても、二割負担の対象者の拡大が検討されている。 介護保険は、平成二十七年に二割負担、平成三十年に三割負担が導入され、それぞれの負担増に伴い、経済的理由からサービス利用を控えた方が存在するということも明らかになっている。 介護保険料の引上げ検討にあたっては、負担の増大による「サービスの受け控え」については、考慮を行うか。 三 二割負担の拡大の検討において問題となるのは、二割負担、三割負担を線引きする所得基準は政令で定められているということである。つまり、国会での審議を経ることなく、政府の裁量で決定できるということである。 思えば、政府は後期高齢者医療の二割負担の導入の際には、全世代対応型を謳い、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの構造を見直すとしながらも、その実態は、後期高齢者のみに負担を押し付け、その反面、公費負担の減少を見込んだ、国の財政対策にばかり主眼の置かれたものであった。政府には、こうした歴史の反省を踏まえ、財政対策からの見直しではなく、利用者の置かれている厳しい状況を踏まえた対応が求められる。 介護保険の利用者負担の見直しに当たっては、国会の場も含め国民に対する丁寧な説明と議論が行われるべきと考えるが、政府はそれを誠実に行う意思はあるか。 右質問する。 |