質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一二七号

学童保育が抱える諸課題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十二月十三日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   学童保育が抱える諸課題に関する質問主意書

 学童保育が抱える諸課題につき、以下質問する。

一 政府は「新・放課後子ども総合プラン」に基づき、令和五年度末までに約百五十二万人分の受け皿整備を進めるとしている。しかし、政府が令和五年五月一日現在の速報値として発表した統計によると、登録児童数は約百四十四万五千四百五十九人、いわゆる待機児童数は一万六千八百二十五人とされている。この状況から、令和五年度末における同総合プランの達成は厳しいとの指摘もある。

1 この状況について、現時点で放課後児童クラブに係る受け皿確保が目標のとおりに進んでいると考えているのか、また総合プランの目標を達成すれば十分と考えているのか、政府の認識を伺う。

2 また、こうした厳しい状況を踏まえれば、政府は取組を大幅に拡充していくことが求められるが、今後どのように取り組んでいく方針か。

二 こうした状況下では、受け皿を数字の上でのみ達成しようとする動きが起こることも懸念される。現に、近年の放課後児童クラブでは、「詰め込み学童」といわれるような状況が起こっており、こどもが快適に過ごせるような環境になっていないのではないか。この点、国の放課後児童クラブについての運営基準では、「支援の単位」といわれる一つのクラス当たりの人数をおおむね四十人以下にすることとされているが、この基準は「参酌すべき基準」に過ぎず、自治体が、地域の実情に合わせて異なる内容を定めることも可能である。実際、詰め込み学童は一万二千クラスに及んでおり、全体の三十六・三%に上るとの調査もある。

1 こうした状況を政府はどのように受け止めているのか。

2 また、こどもの健全な育成を図るとの観点から、十分なスペースの確保について、基準の見直しも含めた対応すべきと考えるが、政府の方針を伺う。

三 詰め込み学童となる一因として、受け入れる児童数が増加している中で、職員が不足していることも挙げられている。職員の数が不足すると、職員はこどもを管理する対応を取らざるを得なくなるとされ、こどもの育ちへの悪影響が懸念される。こうした職員不足の背景として、非正規が多く、低賃金であることが問題となっている。平成三十年の調査では、週二十時間以上働く指導員のうち、約六割がワーキングプアと言われる年収二百万円未満だったとされている。政府も、待遇改善のための予算を措置してはいるものの、学童においても、質を確保していくため、処遇改善に係る予算を抜本的に拡充していく必要があるのではないか。この点に関する政府の見解を伺う。

四 放課後児童クラブにおいては、地域によっては保護者負担が大きいところもあるとの指摘がある。その背景には、設置・運営主体が、市町村以外にも、NPO法人、保護者有志など多様であり、そうした主体の違い等によって方針が異なっていることが挙げられている。この点、一部自治体では、長期休みの間も、仕出し弁当を注文できるところや、地域ボランティアと連携して、工作や体操などのプログラムを用意しているところもあると聞くが、親の負担軽減やこどもの育ちの環境が改善されるよう、こども家庭庁が先頭に立って、こうした多様な主体が連携できるような取組を推進していくべきではないか。政府の見解を伺う。

  右質問する。