質問主意書

第212回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一一九号

公的機関の職員の国籍に関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年十二月十三日

神谷 宗幣


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   公的機関の職員の国籍に関する第三回質問主意書

 公的機関の職員の国籍に関する再質問主意書(第二百十二回国会質問第六七号、以下「本件再質問主意書」という。)に対して、答弁書(内閣参質二一二第六七号、以下「本件答弁書」という。)の送付があった。

 本件答弁書によれば、本件再質問主意書で取り上げた国立研究開発法人四機関(以下「四法人」という。)の外国籍職員は、「公募による採用を原則」とし、「業務の遂行に必要な人材を選考」したので「国籍別人数は不適切であるとは考えていない」とのことである。

 しかし、日本の科学技術協力の相手国は多岐に及ぶ。例えば、二国間科学技術協力協定の締結相手は、計四十八ケ国・機関に及ぶ。これらの協定の下で、研究開発の情報交換、研究者交流、共同研究等の様々な協力活動が実施されている。それにもかかわらず、四法人の全てで、採用されている外国籍職員の中で中国籍の割合が三割から半数近くという高い割合で、数そのものも突出して最多となっていること自体は均衡がとれておらず、不適切ではないか。繰り返すが、中国は現在、国家戦略として、軍民融合発展戦略により科学技術を最大限軍事利用することを方針とし、また、日本の尖閣諸島周辺や南シナ海、中国南部国境地帯で力による現状変更の試みを継続・強化している。個々の募集のみに注意を払うのではなく、四法人それぞれで外国籍職員全体の採用方針を定め必要に応じた均衡策等をとるべきである。

 また、本件答弁書によれば、「中国の「国家情報法や国防動員法」は他国の法律であることから」、政府として本件再質問主意書の三に答弁しないとのことである。右二つの法律は発動されれば我が国在住の中国人にも適用され、我が国の安全保障、技術漏洩の防止等に極めて大きな直接の影響を与えるおそれがある。にもかかわらず外国の法律であるとの理由で一切の答弁を拒否することはあってはならない。

 本件答弁書は、国立研究開発法人の成果の国外流出の防止につき関連の法律や規定を列挙したが、実際には令和五年六月に産業技術総合研究所で行った研究成果を中国籍の主任研究員が中国企業に漏洩したとされ逮捕される事例があるなど、現在の流出防止の対策は不十分でないのか。

 以上を踏まえ、以下の質問を行う。

一 四法人において、外国籍職員の採用にあたり、個々の採用を越えて国別の採用数など組織横断的な指針はないのか。現在、組織横断的な外国籍職員の採用指針が無ければ、新たに右指針を定めるべきではないか。

二 日本の公的機関に採用されている中国籍職員は、同国の国家情報法や国防動員法に基づいて同国政府の命令に従う義務が生じると考えられる事態に対して、四法人を含む国立研究開発法人において如何なる対策が講じられているのかを改めて問う。

三 上記の令和五年六月の産総研での情報漏洩を理由とする逮捕事例などを踏まえて、四法人を含む国立研究開発法人における情報流出を防止強化するために、新たな対応策を検討しているか。

四 令和五年十一月二十四日には、東京都のパスポートセンターで窓口業務を担当していた委託業者の中国籍の職員が申請者など千九百人以上の個人情報を不正に持ち出した事件が発覚した。我が国の情報保護を考える場合、自治体職員も含め、公的機関の職員の国籍制限について検討すべきではないか。政府は今後、何らかの対策を検討するか。

  右質問する。