第212回国会(臨時会)
質問第一一三号 米軍嘉手納飛行場等における航空機騒音規制措置に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和五年十二月十二日 髙良 鉄美
参議院議長 尾辻 秀久 殿 米軍嘉手納飛行場等における航空機騒音規制措置に関する質問主意書 米軍嘉手納飛行場では、F15戦闘機が退役した後、米本国などからF22ステルス戦闘機やF16戦闘機、F35ステルス戦闘機などが巡回配備されている。これらの巡回配備が始まって以降、嘉手納飛行場周辺における航空機による騒音発生回数は明らかに増加し、特に九十デシベル以上の「騒々しい工場内の音」に相当する騒音が増え、沖縄市、嘉手納町、北谷町などの周辺自治体では、住民からの苦情が相次いでいる。一部報道によると、嘉手納飛行場に隣接する北谷町砂辺で今年一月、F35Bステルス戦闘機が着陸した際、百十七・九デシベルの騒音が測定された。会話が不可能で聴覚障害を起こすとされるレベルの爆音である。北谷町は六月、政府等に対し、騒音増加に対する抗議や航空機騒音規制措置(以下「騒音防止協定」という。)の遵守等を求め意見書を提出した。嘉手納町議会も十二月五日に、同じく巡回配備によって騒音が激化したとして、厳重抗議する意見書を沖縄防衛局に提出した。右について、以下質問する。 一 F35ステルス戦闘機の配備については、沖縄市と北谷町、嘉手納町で構成する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)」も二〇二三年六月に暫定配備に抗議し、運用停止を要請した。政府は三連協の抗議に対し、「地元への影響を最小限にとどめるよう米側に強く求める」と答えたことが報道されているが、米軍は早朝、夜間を問わず、訓練で離着陸を繰り返しており、聴覚障害が懸念されるレベルである百デシベル以上の騒音がたびたび確認されている。政府が米側に騒音防止協定の遵守を求めたことを疑わざるを得ないほど、米軍は騒音の軽減のための努力を怠っている。F35戦闘機による嘉手納飛行場の騒音増加の問題について、政府はいつ米側に「地元への影響を最小限にとどめる」ことを求めたのか、その日付と具体的な内容、会議等で求めたのであれば会議の名称を明らかにされたい。その上で、政府の求めに対する米側の回答を明らかにされたい。 二 報道によれば、十二月五日の嘉手納町議会の意見書に対し、沖縄防衛局は騒音防止協定で夜間騒音の軽減などの十分な実感につながっていないことを認めている。これまでも騒音防止協定の遵守を求めてきたなかで、事態の改善が見られない状況であるが、今後米側が騒音防止協定を遵守するために、政府としてどのように実効性を担保するのか、見解を明らかにされたい。 三 嘉手納飛行場のみならず、普天間飛行場など米軍飛行場の周辺地域では、騒音による周辺住民の睡眠妨害に起因する健康被害が指摘されている。嘉手納飛行場周辺の騒音については、夜間・早朝の飛行差し止めを求める第四次嘉手納基地爆音差止訴訟の原告は、過去最大の三万五千五百六十六人となっている。このように多くの県民が嘉手納飛行場の騒音による被害を訴えていることを政府は重大に受け止め、米軍に対し、夜間・早朝の飛行を禁止するべきである。これについて政府の見解を示されたい。 四 防衛省が公表している日本各地の米軍飛行場周辺の航空機騒音状況では、騒音自動測定器が設置されている位置ごとに測定値が示されている。横田飛行場、厚木海軍飛行場、岩国飛行場などでは、小学校や中学校、病院、老人ホーム、市民センターや公民館など、特定の施設が測定器設置場所として公表されているが、嘉手納飛行場と普天間飛行場では地区名(例えば「嘉手納町字嘉手納」)のみが記されている。他の飛行場のように、子どもたちが日中過ごす学校や人々が集まる場所、病院や老人ホームなどに測定器を設置し、騒音の値を公表すれば、米軍機の騒音がどのように周辺住民や子どもたちの生活に影響しているかを把握し、対策を講じることができるのではないか。嘉手納飛行場や普天間飛行場において、他の飛行場のように具体的な測定場所が公表されていないことについて、その理由を含め政府の見解と今後の対応を明らかにされたい 五 嘉手納飛行場及び普天間飛行場における騒音防止協定に「進入及び出発経路を含む飛行場の場周経路は、できる限り学校、病院を含む人口稠密地域上空を避けるように設定する」と定められているが、米軍機の場周経路が人口稠密地上空を避けているのか、政府として独自の調査を行っているか明らかにされたい。それとともに、沖縄県外にある米軍飛行場についても、同様の調査の有無を示されたい。 六 沖縄県内では、日常的に米軍機が市街地や住宅地上空を飛行している様子が確認されている。今年十一月には沖縄県大宜味村では目視で百メートル以下の低空飛行をする米軍機が目撃されている。また、北谷町砂辺では五十メートル程度の高さでオスプレイとCH53大型輸送ヘリが住宅地上空を低空飛行している様子が確認されている。飛行経路の逸脱と低空飛行の常態化は許されず、特にオスプレイが市街地上空を飛行することがあってはならない。米軍機の飛行経路の逸脱及び住宅地や市街地上空の低空飛行について、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |